【大紀元日本11月9日】香港と米国の研究者による共同研究報告書は先週米国の有名学術誌に掲載され、中国でH5N1ウイルスが突然変異し、流行しているとの研究結果を公表した。それに対し、中国の鳥インフルエンザ専門家は、研究結果に反論し、国内での変異株「福建型ウイルス」の出現を否定した。米国VOAが報じた。
報告書:中国で「福建型ウイルス」が出現
中国政府メディア・新華社の6日の報道では、中国の鳥インフルエンザ専門家が、米国「国家科学院誌」が「事実に反する」研究結果を公表したと反駁した。
この米国の学術専門誌には、「中国で鳥インフルエンザのH5N1ウイルスの変異株が出現、流行している」と題する文章は、香港や、米国の数名の研究者が2005年から始まった研究の結果を書き記している。研究者 らは2006年4月から6月の間に、中国の福建省や、広東省、広西省、雲南省、貴州省、湖南省など南部地域6ヶ所の家禽市場で計108個のサンプルを採取し、分析した結果、そのうちの95%を占める103個のサンプルから、「福建型ウイルス」が確認された。ウイルスの突然変異は、どのように発生したのか、伝播の範囲はどうしてそんなに広いのかについては、まだ不明であるという。
この研究報告書には、「中国南部で福建型ウイルスによる鳥インフルエンザの人への感染はすでに5人が確認され、香港や、ラオス、マレーシア、タイなどの国での新たな感染発生源となっている」と記されている。
中国当局の研究者:米国の研究結論は根拠なし
中国国家鳥インフルエンザ参考実験室の主任・陳化蘭氏は、米国のこの研究結果は、科学的な根拠が欠けている、中国では福建型ウイルスは発生していないと反論、中国の研究者が南部で発見した鳥インフルエンザウイルスの遺伝子型は比較的に安定している、抗原は著しく変異していないと説明した。また、同氏は、中国は2005年と2006年において、南部地域の水鳥から採取した一部のウイルスを国連食糧農業機関(FAO)や、世界動物保健機構などの国際組織に提出したと主張した。
そのほかでは、中国疾病予防制御センターのウイルス研究所国家インフルエンザセンター主任・舒躍竜氏は、2005年10月までに、中国国内で計20人の鳥インフルエンザが確認されたと説明、詳細に分析したが、5人が福建型ウイルスに感染した事実は確認されていないと反論した。
報告書の作成者:研究結論は同業研究者の審査を受けた
今回の米国学術誌で公表した研究報告書 作成者の一人、香港大学の伝染病研究室の責任者 、微生物学者の管軼氏はAP通信の取材で、陳化蘭氏が率いる研究室の関連資料を知らないとし、同氏の説明についてコメントできないと述べた。
管軼氏は2003年、中国でSARSが大流行する際に、いち早く感染源はハクビシンであることを突き止めた。昨年11月初めには、米国タイム誌で人類を救った世界英雄18人の1人に選ばれた。管軼は、今回の米国と香港の研究者による共同研究の結論は、同業研究者の審査を受けたと説明、知名度の高い国際学術誌にも掲載されたことを挙げ、研究結果の正確性を強調した。
中国政府関係者:研究結果は事実と合致しない
中国農業部は、米国で公表されている中国での鳥インフルエンザの変異株「福建型ウイルス」の発生は、事実と合致していないとの声明を発表した。
また、中国外務省の報道官・劉建超氏は、先週の定例記者会見で、「中国で鳥インフルエンザウイルスの変異株が発見されているとの外国研究者による調査結果は、事実と完全に合致していない」と発言し、「中国は世界の鳥インフルエンザ予防と制御活動に積極的に参加している」「すべての鳥インフルエンザの感染状況や、ウイルスの関連情報を国際社会と共有している」とし、国際保健機関(WHO)を含め、国際組織と密接な協力関係を構築したと主張した。
世界保健機関(WHO):中国の情報公開の透明度が低いと非難
一方、WHOは先週、中国当局による鳥インフルエンザの感染情報と予防状況の公開は、透明度が欠けていると指摘、そのため、専門家が、中国で鳥インフルエンザウイルスが突然変異したかどうか、伝播の状況などを把握するのに、多大な困難をもたらしていると非難した。
WHO駐北京事務局の幹部ホール氏はメディアの取材で、WHOは、中国における鳥インフルエンザの感染種類を把握できていないと指摘、「中国当局(農業部)がWHOに提出した情報は非常に限られている上、WHOが求めているウイルスサンプルの提出にも応じないからだ」と説明した。
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