【アイダホ州ジェローム郡、2024年5月28日】アメリカ農務省は5月28日、初めてアルパカで高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)を検出したと発表した。ジェローム郡の農場で18頭のアルパカのうち4頭がH5N1陽性と判明。このアルパカたちは感染した鳥類と「密接に接触」していたが、現時点で死亡したアルパカはいない。
農務省の声明によると、農場環境におけるウイルス量は非常に高く、様々な家畜が混合して飼育されているため、HPAIの発生は驚くべきことではないが、アルパカでの初めての検出となった。アルパカのサンプルを分析した結果、このウイルスのタイプは今年初めや昨年末に牛で初めて広がったウイルスと同じであることが分かった。
これらの症例は5月16日に確認したが、政府は科学者が遺伝子解析を完了するのを待ってから発表した。解析結果は国立医学図書館にアップロードされている。
ウイルス学者のアンジェラ・ラスムッセン氏はXで、「これは心配だが、驚くべき報告ではない。アルパカはインフルエンザに感受性があり、この農場では5月に家禽のアウトブレイク(ある集団内で爆発的に感染症が伝染すること)で処分が行われた」と述べた。また、報告の遅延は迅速な対応を妨げると指摘した。
HPAIの他の種への拡散
アメリカ農務省によると、2022年以来、鳥インフルエンザはオポッサム、キツネ、スカンク、クマなど他の種でも確認されている。初めてのミンクの症例は4月にケンタッキー州で確認され、初めてのリスの症例はアリゾナ州で、初めてのホッキョクグマの症例は2023年にアラスカで確認した。
牛やそれに接触したり牛乳を飲んだりする種での症例も増加している。連邦当局によれば、アイダホ州、ミシガン州、テキサス州を含む9つの州の67の牛群で症例が確認されている。
これらの州や他の州でも多くの家禽群で症例を確認しており、大規模な処分が行われている。例えば、アイオワ州スー郡の農場では、鳥インフルエンザの検出後、420万羽の鶏が処分されている。アメリカ農務省によれば、2022年のアウトブレイク以来、合計9234万羽の鳥を処分した。
他の動物と人間の症例
ニューメキシコ州カリー郡の当局は、最近、2匹の死んだ猫がHPAI陽性と判明したと報告した。これらの猫は牛や家禽場と明らかな直接的な関係はなかったが、当局は、牛乳を、猫や他の動物に与える前に、加熱処理を行うよう勧めている。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は5月24日、今年アメリカで確認した人間の2例目の症例は、ミシガン州で発見され、遺伝子テストで「哺乳類宿主に適応したウイルスの遺伝子変異」が見つかったと発表している。CDCは、人間への感染リスクは依然として低いと考えており、その理由の一部はこれらの症例がすべて牛からのものであり、現時点で人から人への感染の証拠がないためである。
アメリカでは、他に1例の人間の鳥インフルエンザ症例が確認されている。2022年に、コロラド州モントローズ郡の家禽農場で感染した鳥を処分していた囚人が感染した。この3人の感染者はすべて回復している。
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