北京五輪で中国の「報道の自由」は実現するのか

2006/11/08
更新: 2006/11/08

【大紀元日本11月8日】中国共産の胡錦濤主席がアフリカ諸国の元首48人を迎える歓迎式典で、現地報道のある取材記者は朝6時30分に北京人民大会堂へ車両搬送され、安全検査をされ、待ち合い室で1-2時間待たされてから、ようやく午前9時過ぎに始まった式典の場に出ることができた。短い報道のために、ここまで長時間を費やすとは、とてもつらい事ではあるが、台湾、香港、マカオ等の記者らが取材制限を受けているのに比べたら、まだ幸運であると言えよう。

今回の「中国・アフリカサミット会議」は、2008年のオリンピック時に取材に来る、大量の記者に対する対応の事前演習とみられる。北京の高官によると、北京側はオリンピック開催時に入国する「取材・報道の自由」を約束した3万人あまりのジャーナリストの対応を模索しているという。

中国は今年の世界報道自由度ランキング(RSF調査)では最下位から6位を占めている。実際、報道・言論の自由、インターネットに対する統制を強化し、ジャーナリストが殴打、投獄され、人権活動家が次々の逮捕され、外部との接触を一切禁じている。さらに、インターネットの管理は実名で行われ、グーグルにおいても、報道資料の検索に触れるだけで、エラー表示が出てくるという厳しい統制が行われている。

北京駐在の外国人記者は、「オリンピックが北京をさらに自由化させるという説を覆し、逆に管理統制が厳しくなる」と語った。また、今回の中国・アフリカサミット会議で、大量の外国記者への対応演習について、ある外国記者は「オリンピックの場合はそれに関連する規定があり、北京当局の考え方があまりにも安易である。オリンピックの場合は、外国記者数は今回のサミットに比べてかなり上回り、それぞれ東奔西走しており、北京当局の言うことなどは聞かなくなる。その際、必ず衝突が起きる」との見解を示した。

一方、中国では政府官公庁の部長や上層指導者の取材が難しい。中国の高官らは取材を受ける慣習がないからだ。このことから、外国記者はすべての質問を中国外交部のスポークスマンへ問い合わせる怪奇現象になった理由であるとみられる。実際、農業、経済、医薬衛生、呉淑珍台湾総統夫人の起訴事件までの問題が同スポークスマンへ投げ出されたのは、ほかに質問のできる者が分からないからだという。

北京当局は、オリンピック開催を円滑に運ぶために、定例記者会見を行っている中央政府部会に対して教育部などを増やしたという。また、外界より疑問視されている突発事件対応法に関する報道発表の規定の目的は、政府統一、タイムリーに正確な突発事件の情報を発表し、透明度を増すことにあるという。

関係者らは、中共高官らが対応すべき対象は、ジャーナリストではなく「報道の自由」が真に直面しなければならないカギであることを理解していないとみている。高官らはオリンピック開催時に設定されている報道の自由における高い基準に対して、今でもみられる変化はない。北京オリンピックの開催では、中国の報道自由の行方に注目したいものだが、北京にいる記者らはむしろ悲観的であるという。

現在中国大陸全体に「脱北者」が30万人程度潜伏しているとみらているが、例えばマラソン競技のゴール付近で、これらの脱北者が報道陣のカメラに向かって「助けてくれ!」と救援を求めたら、やはり北京当局は「報道規制」をしてカメラを没収し、フィルムを抜き去るのであろうか。そして、脱北者を秘密裏に無慈悲に「強制送還」するのであろうか。臓器を盗み取られている「法輪功集団」の一人が「臓器狩り」をオリンピック中継のカメラで訴えたら、北京当局はやはり報道規制によって「隠蔽」しようとし、彼らを「精神病院」に送致しようとするのであろうか。それは世界の檜舞台「五輪」の場で、果たして可能なことなのであろうか。

(中央社記者・張銘坤)

http://epochtimes.com/gb/6/11/5/n1510504.htm