英国LSEシンポジウム:深刻な中国の人権問題、国際社会の支援重要

2006/11/04
更新: 2006/11/04

【大紀元日本11月4日】英国ロンドン大学社会科学部(The London School of Economics and Political Science、略称LSE)はこのほど、「21世紀の人権:中国の事案」と題するシンポジウムを開催した。講師として招聘されたブラッド・アダムス(Brad Adams)氏=米国人権団体「人権観察」(略称HRW、Human Rights Watch)アジア部門統括=が基調講演を行い、中国の人権問題は深刻であり、国際社会の支援の重要性を強調した。

深刻な中国の人権状況

中国当局は長い間「内政干渉」を理由に、中国の人権問題を指摘する国際社会の批判を退けてきたが、アダムス氏は「周知の通り、国家の主権は人権公約の中では言及されていない。人権保護の対象は個体であり、その個体が所在する場所とは関係ないからだ」と中国の主張を論破し、「中国当局は法制を実行していると宣言し、新しい法律を制定する際には大々的に宣伝するが、国民がこれらの法律を用いようとすると、身柄拘束や、殴打に遭い、一部の人はさらに投獄され、拷問を受けている」と現状を批判した。

また、アダムス氏は本紙の取材で、HRWは中国の人権問題は相当深刻だと認識していると述べ、①死刑問題…中国で毎年処刑される死刑囚の人数は全世界その他の地区の合計を超えている②拷問問題…国連拷問問題の特別調査官マンフレッド・ノーワック氏は中国を現地調査し拷問の実態を報告した③司法…司法機構は名目だけで独立しておらず、裁判所は中国当局のコントロール下に置かれ、その決定は中央政府の同意が必要④弁護士に対する制限:中国当局は最近、弁護士は一人で10件以上の案件を同時に受理する場合、中国当局の許可が必要と条例で定めた⑤地方政権の腐敗:幹部は恣意に人を逮捕したり、暴行したりするなどの問題点をあげた。

高智晟氏は非常に勇気がある

アダムス氏は、中国当局の不当な圧力に屈せず逮捕され拘禁中の人権弁護士・高智晟氏について言及し、「高智晟氏は非常に勇気がある。他人のために努力している。非常に優秀な弁護士だ。平和的に政治改革を後押し、暴力に反対している。同氏の目的は中国を良い国にすることである。彼のこの行動は評価されるべきだ。ところが、高氏は自ら墓穴を掘ったのであり、そうするべきではなかったと批判する者もある。私はこの主張は全く理不尽で、完全に間違っていると思う」と述べた。また、「このような他人のために尽力する人権活動家には、我々の支援は非常に重要だ。多くの中国人からは、重要なことは中国当局に対抗できる力を持つことであり、国際社会による支援は必要不可欠だと告げられた」と説明した。

生きている人の臓器強制摘出に警戒すべき

中国の臓器狩り問題については、「もちろん、これは非常に大きな問題。中国の一部のベテラン医師はすでにこの件を認め始めている。私もテレビ報道などを見ている。臓器は死刑囚から摘出されたものと認める人も現れている。中国当局は、これは事前にドナーの同意を得ていると主張しているが、私は嘘だと思う。中国当局には関連の法律はあるが、我々はこの臓器狩り問題に警戒しなければならない。この問題は巨額の資金と連動しているからだ。中国では多くの幹部汚職が横行している。我々が知る限り、中国当局は臓器狩りで得た収益で多くの病院施設を建設している」と問題の深刻さを指摘した。

今回のシンポジウムで、中国民衆の直訴と抗議の問題について、参加者から質問が提起された。カナダのクイーンズ大学の助教授ブルース・ギリー(Bruce Gilley)氏は「中国当局の幹部らに、民主国家政府による抗議者への対処の仕方を伝える必要がある。私はカナダでの法輪功と関連する事案についてよく認識している。駐カナダ中国大使館は、大使館前で抗議する法輪功関係者を逮捕することをカナダ政府に要求したが、カナダ政府は、「それはできない」と答えた。すると、中国大使館の関係者は「それはわかっているが、何とか彼らを逮捕してもらえないのか」と話した。カナダ政府は、「それは本当にできない。なぜならば、彼らは抗議する権利があるからだ」と断固拒否した。

アダムス氏は講演の中で、中国当局は批判されるのを恐れていると指摘、特に国際社会による中国の人権状況への批判には嫌悪していると述べた。同氏は、中国の人権に関心を寄せる中国人、あるいは中国の民主活動家から自分は評価されており、このような人々から、国際社会の圧力は中国の人権状況を変える重要な手立てであると告げられたことを明らかにした。 

(記者・唐英)