【大紀元日本8月22日】中国「長城航空公司」は8月18日、貨物輸送の営業を停止すると公表した。親会社である「中国長城工業公司」が、イランに大量破壊兵器の技術を提供したために米国の制裁を受けているためだ。VOAが報じた。
長城航空は2006年6月、国内外の資本と提携する合弁会社として、中国長城工業公司(持株比率51%)、シンガポール政府のテークオフ投資会社(25%)、シンガポール航空会社(24%)が共同出資した。長城航空は国内線を主力として、上海からアムステルダムへの貨物を空輸している。
米国政府との協議
長城航空の上海本部は8月18日、直ちに同社の貨物輸送の営業を停止するとともに、依託された積み荷を他の航空会社に引き継がせる手配をすると表明した。長城航空の貨物輸送は「米国側の技術サポートに依存する」ため、直ちに営業を停止しなければならなくなったという。同時に、米国政府が親会社に制裁を加えたことから、同政府と協議しながら、長城航空はその解決方法を探し出そうと模索している。
親会社が禁令に違反
2006年6月、米国政府は、中国長城工業公司とその他3つの中国の会社に制裁を実施した。これらの会社が米国のイランに対する武器拡散防止のための関連法に違反し、イランに大量破壊兵器の技術供与に協力したためである。
米国政府は2000年に、「対イラン武器拡散防止法」を制定、もし在野企業がイランに対して「弾道技術管理制度」「化学兵器禁止条約」の内に規定される技術と装備を輸出し、イランに対して大量破壊兵器、巡航ミサイルと弾道弾物資を提供するならば、米国政府はこれらの企業について制裁を加えることができる。
制裁期限は通常2年。この期間中、米国政府機構すべてが、規定に違反した会社の製品、サービスを買ったり、支持したりしてはならない。しかも、米国政府との合弁会社、あるいは米政府から融資を受けている会社もまた、これらの会社と取引ができなくなる。
業務の影響
米国「モントレー国際問題研究院・武器非拡散研究センター」の研究員である、袁勁東氏によると、米国政府の制裁は、国家、企業によってまちまちであり、後から発生する効果も違うという、「もし制裁を加えられた外国会社が、米国政府、あるいは米国側の会社と契約関係があり、しかも米国側の会社が米国政府から貸付けや契約を結んでいる場合、その影響を受けるかもしれない。しかし、殆どの場合、米国側の会社との取引がなく、受ける影響はそれほど大きくない」との認識を示した。
袁氏によると、大量破壊兵器の拡散を防止していくことは米国の対外政策の重要な一環なのだという。米国の法律に違反した外国政府と企業に対する制裁は政治上、米国の立場表明となっているという意味がある。兵器拡散への反対と禁止とは、武器を拡散した国と会社を経済の分野で厳重に処罰し、経済的な損失を受けさせるとの意見を示した。
中国は確実に規定を履行すべき
米国が政治と経済上の圧力をかける最終目的は、関連政府と会社に今までの政策を強制的に変えること、あるいは輸出管理を強化させることである。袁氏は、中国が確実に国際上及び中国国内の武器拡散の関連規定を履行すべきであると指摘した。
袁氏は、米国にはイランに対する武器拡散防止のための関連法がある以上、同法律が規定しているすべての物品のイランへの輸出は制裁を受けるため、今後同じようなことを繰り返さないように、まずはどんな部品をイランへ輸出しているのかをはっきりしなければならない。そこから、いかに会社側の内部管理及び、そのシステムを改善・強化していくかが、肝心であると強調した。
軍民兼用の技術と物品は認定上の難問
中国は2002年8月22日、「中華人民共和国のミサイルおよび関連物品項目と技術の輸出取締り条例」を実施した。輸出禁止の物品項目と技術の管制に関する明細書を並べたが、軍民兼用の技術と物品の問題に関しては、特に民用技術の部分は区別しにくいため、認定上の誤認に導くことがあると、袁氏も述べている。
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