【大紀元日本7月11日】上海は、変化の著しい都市である。しかし、その影には、人にはあまり知られていない事実が隠されている。それは、上海の人口が、中国全体で最も高齢化が進んでおり、今なお急ピッチで高齢化が進んでいるということである。
ニューヨークタイムズ紙6月28日付けの報道によると、上海の人口1360万人のうち、20%が、上海における正式な退職年齢である59歳を上回っている。更に、この数字は毎年10万人のペースで増加しており、2020年には、上海住民の約3分の1が、59歳を超えることになる。
専門家の見解によると、急ピッチに高齢化が進む大都市・上海が、人口統計において歴史上、最も大きな変化を牽引しており、中国全体に対して、深刻な影響を及ぼすことになるという。それは、廉価な労働者をほぼ無制限に供給してきた中国が、急速に労働力の供給不足に直面するということである。
1979年に始まった一人っ子政策により、出生者が3900万人減少したと推計されるが、これが、重大な過ちとなる可能性がある。極めて低い出生率が、既に老年人口と若年人口との間に深刻なアンバランスをもたらしているのである。
中国の戸籍登記制度は、国内における人口の移住を制限しているが、これにより、若年労働者が都市に移住できず、若手労働力の不足をもたらしている。しかし、中共は、この制度を廃止することにより、都市の労働力が氾濫し、農村人口が減少することを懸念している。
上海が中国の未来を代表するのならば、上海市静安区の住民4000人のうち、30%が60歳以上であるという事実から、中国の未来を窺い知ることができるだろう。
中国には退職年齢に関する規定があり、50歳を過ぎると、60歳を待たず退職となる。退職年齢の引き上げは、定年退職制度に係る圧力を軽減できるが、若者の就職を困難にする上、中国の経済成長から取り残された多くの老人たちの恨みを買うことになる。
国内における移住の規制を緩和すれば、当局が望まない大量の人口移動が発生し、他方で、一人っ子政策を放棄することは政治的に不可能である。若手労働力の減少は、今まで中国が得意としてきた労働集約型製造業が、海外へ流出してしまう可能性がある。
一方、一人っ子政策は少しずつ修正されている。例えば、両方が一人っ子である夫婦の場合、二人目を産んでもよく、二人目を生むための4年間の待機期間を取り消すことができる。
中国人口統計の専門家の見解によると、指導者及び当局は、徹底的な対策手段を講じることができないという。なぜなら、共産党が構想し、執行した、20世紀で最も偉大な政策である一人っ子社会の実験が完全な失敗であることを認めたくないからである。また、いま、出生制限の数値を切り上げても、何の役にも立たないとさえ考える者もいる。専門家によると、内陸部の貧困な民衆が更に多くの子供を生む可能性があるが、増加する中産階級の少子化はおそらく止まらないからである。
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