【大紀元日本6月13日】国民党が中央常務委員会(以下、中常会)で提出した陳総統罷免案は、国際社会の注目を引いている。前北京大学新聞学科教授・焦国標氏は、国民党は民意に応じて総統に対して罷免案を提出したことは、台湾の民主政治がますます成熟したことを表し、北京当局にとってすでに重圧となったとの見解を示した。
台湾大学政治学科・明居正教授は、総統を罷免するハードルは高いため、罷免の成否は未知数であるとした。しかし、罷免についての討論、推し進める過程などは、執政者に警戒心を高めさせ、執政の効能を積極的に改善するような働きがあると分析した。明教授は、罷免の成否は、民主政治の発展と司法の独立に役立つとの見方を示した。
台湾大学政治学科・明居正教授(大紀元)
焦教授は、最近の台湾政局の発展を国際社会が注目し、大陸人民の重視および関心がそれ以上に大きいとの見解を示した。焦教授は、台湾総統の婿がインサイダー取引、賄賂を受けるなどスキャンダル事件で拘禁され、陳総統がそのために罷免の圧力に直面した一連の出来事は、台湾人民が言論の自由と、国家の主権者として享受すべき権利を有していることを、大陸の人民にあらためて認識させ、羨望を抱かせていると分析した。
前北京大学新聞学科教授・焦国標氏(大紀元)
焦教授は、今回のことは、中共政権がすでに圧力を感じており、国民党の総統罷免案の提出は、台湾が民主を発展させ、正しい民主の軌道に乗っていることを物語っているとし、罷免案提出後は憲法に沿った手続きを踏まえ完成しなければならないとした。さらに、それを推進する過程は台湾における民主の発展をさらに成熟させるものであると主張した。
また、焦教授は、国民党(藍党)は民進党(緑党)を抑制するために、自らの地位を向上させるために罷免案を提出したとの見方を示した。しかし、仮に国民党が執政権を勝ち取ったとしても、両岸の統一を追及しないであろうとの見解を示した。教授は、連戦氏の訪中は、それぞれ政治家が必要なものを勝ち取るための政治カードであるとの意見を示した。
一方、明教授は、総統は法律に則り、政治および総統の権限を執行すべきであるとし、執行しなければ失職であるとし、し過ぎれば権利濫用になると分析した。両者は共に法律の制裁を受けなければならないと強調した。
また、中華民国憲法修正案第2条規定では、総統、副総統の罷免に関して、立法委員全員の4分の1より提議し、立法委員全員の3分の2が同意してから提出できるとし、さらに選民全体を過半数の投票にて、賛成が過半数である場合、初めて罷免案の通過ができると定められている。
しかし、立法院における藍・緑両党の席数からすれば、罷免案は立法院を通過する可能性は少ないとみられる。仮に立法院が同提案を通過させた場合、有権者全体の過半数の賛成がなければ成立しない。
また、現在、台湾にいる有権者は約1600万人で、過半数は約800万人が必要となる。2004年総統選挙時、400万人の投票で総統の選出ができたが、罷免案の場合は800万人の賛成の投票を獲得することは非常に難しいであるとみられる。
しかし、罷免の通過が困難であるのに国民党および親民党は何故提案したのかについて、明教授は、①民意の期待が高すぎて、行動を取らなければ民心を失ってしまうことを懸念したため②総統に対して職責を尽くすべきと注意を与えるためと分析した。
明教授は、実際に罷免案は通過してもしなくても、いずれ民主が勝利したことを表すとした。なぜなら、民主自身は罷免の成否結果とは関係ないからであるとの見解を示した。教授は、民主の勝利とは、総統を罷免するまたは総統を制約する機制があることとし、総統が重大な誤りを犯した際、または権利を濫用した際に国民が総統を更迭できることである。
明教授は、米国の民主政治が行われて、200年が経っており、2000年に行われた大統領選挙の時でも、フロリダ州では投票用紙の設計ミスによって、選挙結果を巡る争議が起きた。台湾の民主政治は実行されてまだ20年足らず、このような状況が現れても大したことではないとの考えを示した。明教授は、法律に則り改善し修正すれば、民主政治の成功であるとの見解を示した。
明教授は、台湾の民主は藍党または緑党のどちらが成就したものではなく、両党が共同に成就したものであるとした。教授は台湾民衆に対して、やっと手に入れた民主を大切にするよう呼びかけた。
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