「中国農民調査」著者:「ドイツは中国民主活動家の状況を重視している」  

2006/05/23
更新: 2006/05/23

【大紀元日本5月23日】中国9億人の農民の貧困状況を描く「中国農民調査」の著者である陳桂隷氏夫婦は、民間人権活動家二人と一緒に、中国を訪問中のドイツメルケル首相と22日夕方、北京のドイツ大使館で面会することになった。陳氏夫婦は著書の中で、中共の地方政権の腐敗と農民が置かれている悲惨な状況を暴露したため、国内外で大きな反響を引き起こし、後にこの本の出版禁止が命じられた。そして、メルケル首相と面会する前に、陳氏は取材を受け、一連の内情を明かした。

まずは、陳桂隷氏は今回のドイツ首相と面会に至る経緯などを説明した。それによると、駐北京ドイツ大使館の関係者が陳桂隷氏に電話連絡し、首相が訪中する際に、彼らと接見したいとの意向を伝え、意見を伺った。陳桂隷氏夫婦はすぐにこの提案を受け入れ、北京に駆けつけたという。

今回、一緒に面談に参加するほかの2人は、韓会敏と魏偉の両氏である。韓会敏氏は都会に出稼ぎに来た女性を支援する団体を立ち上げ、魏偉氏は出稼ぎの農民の人権を守る組織「小小鳥」を結成した。共に農民問題に関心がある人権活動家である。

今回の面会でどのような問題が議論されるかについて、陳氏は事前の打ち合わせがないと答え、恐らく中国の農業問題が中心となると説明した。

ドイツ側は中共政権にこのことを伝えたかどうかについて、陳氏は「これは非政府レベルの面会であるため、中共に知らせる必要はないのでは」と語り、今回の面会は、ドイツ政府が中国の人権活動家の情報を重視している証と受け止め、非常に光栄に思うと心情を述べた。

また、陳桂隷氏は取材で、「中国の農村部では、問題が山積みで、土地所有権の改革や農民の処遇改善、農村部子供の義務教育の徹底や、医療保険制度の確立などが存在する」と明かした。

陳桂隷氏夫婦は、3年間をかけ、千人以上の農民を取材、その間、命が危険な状況に曝され、様々な困難を乗り越え、ようやく「中国農民調査」を完成させた。その著書の中で、地方政権の腐敗と農民が置かれている悲惨な状況を暴露したため、国内外で大きな反響を引き起こした。2004年、年初に出版されてわずか3ヶ月で出版禁止を命じられたが、海賊版約8百万部が市場に出回った。そして同年10月、報道文学のノーベル賞とも言われているユリシス賞(Ulyssis)を受賞した。また、陳氏夫婦はこの著書の中で、職権濫用の安徽省・汚職幹部を実名で報道し、農民の血を吸い取る地方政権の実態を暴露したため、現地の中共幹部に訴えられていた。

ドイツのドイチェ・ベレは、「中共政権が抱える一番深刻な社会問題は、国内の農業問題である。そのため、メルケル首相は中国農民の声に耳を傾け、実情を把握したいのでは」と今回の面会に至った背景を分析した。

また、メルケル首相は23日、上海でバチカンが承認したカトリック教の金魯賢・司教と面談する予定。