【大紀元日本2月18日】米議会下院委員会は15日、グーグル、ヤフー、マイクロソフト、シスコ・システムの大手ネット企業4社に対して、中共政権に譲歩し、中国国内のインターネットを検閲・封鎖した疑惑で証人喚問を行った。民主および共和両党の議員は世界十大ネット企業に対して、利用者の個人情報を中共当局へ提供したことを強く非難した。
(AFP)
民主党下院トム・ラントス議員は、ネット企業らが巨大な財及び権力を成したが、社会的責任を果たしておらず、中国で行っている活動は会社にとって恥辱であると述べ、経営陣を強く批判した。
同議員は、昨年ヤフーがフリーライター師濤氏の個人情報を中共当局に提供したため、師氏は中共当局に10年の懲役を言い渡された事件で、ヤフーに対し、被害者・師氏の家族に謝罪しなかったことを厳しく非難した。
さらに同議員は、4社が中国で行っていることは、第二次世界大戦時IBM社が行ったこと(*)と同様な恥ずべき行為であると批判し、中共政権の言いなりになって、高度技術を駆使し、反体制の活動家を迫害していると指摘した。
米下院国際関係委員会スミス議長は、これらの米企業の中国でのやり方は、民主、自由を提唱する米国の理念と相反しており、4社は中共政権の思想自由および言論自由に対する抑圧に協力し、米国の建国精神に違反していると譴責した。
スミス議長は、米企業は個人資料を中共当局に渡したため、一部の中国人が強制労働収容所に入れられ、ひいては拷問されたこともあると指摘した。スミス議長は、中国の法律を遵守しなければならないというヤフー側の弁解に対し、半世紀前に起きたナチスに強制労働収容所へ送られたアンネ・フランク(**)の事件を例にあげ、ヤフーを非難した。スミス議長は、我々は加害者側ではなく、罪のない被害者側に立つべきであると主張した。
答弁の中で、グーグル社のマスコミと広報を担当するアイリオット・スラグ副総裁は、中共当局にとって都合の良くない内容の検閲に同意したのは、「完璧のない世界における完璧でない決定である」と弁解した一方、ヤフーのキャラハン代表は、中共当局の法律に従わざるを得ないことに「非常に悩んだ」末の選択だと示した。
スラグ副総裁は、米国のハイテク企業が足並みを揃えるべきであると述べ、米政府もコンテンツの検閲問題を両国の貿易交渉のときに取り上げるよう呼びかけた。4社ともに企業側のみの力では中共当局の圧力に対抗することが難しいと示した。
米国務省の国際情報政策を担当する国務次官デイビッド・ゲロス氏は、VOA(アメリカの声)およびRFA(アジア自由ラジオ)の放送に対する妨害を中止するように、外交ルートを通じて中共当局と交渉を続けていくと示した。民主、人権および労働関係を担当するバリー・ローレンクロン国務次官氏は、今週の北京訪問で、コンテンツ検閲問題について、中共当局に抗議する予定と示した。
米国務省は14日、IT企業が他国におけるネット検閲を防ぐための審査を行う特別チームを設立した。国務次官ジョゼット・シャイナー氏は、同チームは他国政府に対し情報伝達の自由化を促す役割を果たすと示した。
(記者・李途)
(*)IBM社は第二次世界大戦で、当時、高度技術であるコンピュータをドイツ・ナチスへ渡し、さらに改善を行い、労働収容所へ送り込まれたユダヤ人の大量な記録資料の保存に協力したという。
(**)アンネ・フランク、1929年にユダヤ系ドイツ人の両親に生まれた。第二次世界大戦中、ナチスドイツのユダヤ人迫害を逃れて、善良な友人の協力下隠れ家で25ヶ月間暮らした。のち、隣人に裏切られ通報され、ドイツのベルゲンベルゼン強制収容所へ連行され、9ヶ月間の過酷な日々を過ごして収容所で15年の短い生涯を終えた。アンネが25ヶ月間にわたり書き続けた日記(アンネの日記)は、友人によって出版され、現在は67の言語に翻訳された。のち、舞台劇に上演され、連続ドラマおよび映画化され、3つのオスカー賞を受賞した。
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