【大紀元日本12月1日】1990年代の台湾海軍によるフランス軍艦購入をめぐる大規模な汚職事件で、与党・民進党はこのほど、事件当時の与党である国民党がフランスのラファイエット艦購入をめぐり、中国政府の「暗黙の了解」を得るとの裏取引で購入代金の大半を中国高官の買収資金として流用したとの疑惑を裏付ける資料を公表した。武器の販売で手段を選ばないフランスの賄賂攻勢、中国共産党政権と台湾政府上層部との癒着がもたらした、この事件では、台湾海軍大佐が死亡したほか、7名の海外関係者が死亡し、仲介役としての台湾軍備物資商人で海軍大佐殺害の容疑がかけられている汪傳浦は海外に逃亡したという。
軍艦購入に絡む資金問題の調査を進めている前国策顧問・謝聡敏氏は22日、デュマ前仏外相も資金の一部が中国高官に流れたことを明らかにしていると語った。
民進党が公表した資料によると、購入金4・86億ドルのうち、3・66億ドルが中国前主席・江沢民氏などの8人の高官に流れたという。その事件の裏の仲介役は、台湾前国防部部長・カク柏樹氏の義理の娘である劉莉莉氏と中国前副総理・姚依林氏の甥であるエドモン・関氏だとされ、巨額の賄賂はこの2人を通じ、中国高官らに行き渡ったという。
1990年1月、当時のミッテラン仏大統領は中国共産党による強圧により、台湾への軍艦ラファイエットの販売を取り消すとした。民進党の公開情報によると、取引を成功させるために、販売先であるフランスのトンプソン社は最初に劉莉莉氏に1億ドルで中国上層部を買収するよう依頼したが、目的が果たされなかったため、次にエドモン・関氏と裏契約し、中国上層部から「暗黙の了解」を得る見返りに1・6億フランス・フランを支払うと約束した。結局、エドモン・関氏は0・7億ドルで中国高官らを沈黙させたという。収賄した中国高官には、前主席・江沢民氏や、軍部最高責任者・楊尚昆氏、軍部副主席・劉華清氏、前首相・李鵬氏、前副首相・姚依林氏、前副首相・王岐山氏、前外相・銭其シン氏、前首相・朱鎔基氏などが含まれている。
その後、裏取引はさらに拡大し、民進党の事務総長・李逸洋氏は驚く事実を明かした。それによると1990年トンプソン社の関係者は、自ら中国に足を運び、台湾へ売却したラファイエット艦に関する詳細な機密資料を中国当局に提供していたのである。同時に、同社は中国当局と次のような密約を交わした。① トンプソン社が中国共産党にラファイエット艦の関係情報を引き続き提供すること②中国共産党にレーダーとミサイルを売却すること③中仏双方が軍事協力を構築すること。
「トンプソン社は台湾から金を稼ぎながら、台湾を裏切っていた」と同事務総長は痛恨の気持ちを語った。
台湾与野党の攻防戦
国民党の総裁・馬英九氏は26日、この疑惑問題を徹底的に厳正調査することに決意を示しながらも、国民党はすでに2000年に政権を失ったため、例え汚職事件があったとしても、現在の党体制が責任を負うべきでないと責任逃れとも捉える発言をした。
それに対し、民進党の幹事長・頼清徳氏は「この疑惑問題は国民党が中国共産党と手を組み、台湾の国益を食い物にしたものであり、だれ一人として政治と法的責任を追及していない」と反撃し、関係者を探り出し、法律の厳しい制裁を受けさせるよう国民に支持を呼びかけた。
民進党の陳水扁総統は、この疑惑案件は世紀の大スキャンダルで、中国指導者に莫大な資金が流され、台湾の国益が著しく損害されたとし、いかなる困難があっても真相解明に全力を尽くすとの決心を表明、国民に強い支持を訴えた。