【大紀元日本5月14日】中国共産党の胡錦涛総書記は12日、北京の人民大会堂で、中国大陸を訪れた台湾の第2野党、親民党の宋楚瑜氏と会談した。「一つの中国」の原則を中台がそれぞれの立場で認めるとした「92年合意」を含めた6項目のコミュニケが、会談後に発表され、国際社会の高い注目を集めた。 海外親共メディアの報道攻勢で中国共産党が良い方向に展開しているという世論が高まる一方、北朝鮮核問題と北京による台湾野党の招聘は、中国国内で危機的な状況にある政治・社会問題から、世界世論の目を逸らすための操作であるという見方もある。
連、宋訪中 北朝鮮要素も無視できない
4月下旬の連戦氏の中国訪問以来、北朝鮮の核実験問題は、国際会談の焦点となっていた。連戦、宋楚瑜の両氏による大陸訪問は、台湾政局と中・台・米関係の調整に変化をもたらしたが、北朝鮮核問題の要因は無視できない。
北朝鮮は今年2月、核兵器保有済みだと宣言した。アメリカが出した警告によると、北朝鮮は、3月から地下核実験を開始し、早くて6月中旬に完成できるそうだ。情報によると、北朝鮮が準備している実験は、プルトニウム核爆弾の製造であるそうだ。国際原子力機関(IAEA)の関係者によると、北朝鮮が準備している原子爆弾は、1945年に米軍が長崎に投下した原子爆弾とほぼ同じ大きさで、2万トン前後のプルトニウム核爆弾であるという。核問題に高い懸念を示した米政府は北朝鮮の6カ国協議復帰や核実験阻止に向け、北朝鮮に対するより一層の説得活動を中国に要請したが、中国からは否定的な反応しか得られなかった。ワシントンポスト紙よると、米国は、北朝鮮が6カ国協議への復帰を狙い、中国に北朝鮮への石油供給を停止するよう要請した。中国は、石油輸送管破損の恐れを理由にして「北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議再開に向けた圧力として重油供給停止を利用する考えはない」と米国の要求を断ったようだ。
一方、朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省スポークスマンは11日、稼働を中断した寧辺の実験用黒鉛減速炉(5000キロワット)から8000本の使用済み核燃料棒を取り出す作業を「最短期間内に成功裏に終えた」と表明した。同スポークスマンは「核兵器庫を増やすのに必要な措置を引き続き講じている」ことも強調。分析によると、これらの核燃料棒は再処理により少なくとも2個の原子爆弾が製造できるようだ。
北朝鮮が2月に核兵器保有と6カ国協議参加の「無期限中断」を宣言して以来、米国は、圧力と制裁政策により北朝鮮に6カ国協議への復帰をさせようとしたが、米・中間の対応の違いが注目されている。中国は5月11日に、再び、「圧力や制裁という方法は必ずしも効果があるわけではない」とし、北朝鮮に対する圧力には否定的な見解を示した。中国外交部スポークスマンは、当日の記者会見で、中国と北朝鮮との二国間関係と貿易を取りあげ、貿易と核問題を一緒にしたくないことを強調した。
北朝鮮の核実験問題における行動は、協議への撹乱により、局面を自分に有利な方向へ向けることにある。北朝鮮の核兵器保有に対する北京の冷静さからみると、北京が核燃料、あるいは、核弾頭を北朝鮮に提供する可能性は排除できないだろう。一般的な見方では、中国共産党は、北朝鮮を切り札として、常に台湾海峡や国際問題でアメリカと交渉しているとみられ、一方、北朝鮮もその点をふまえて北京に石油や物資を強気で要請していると考えられている。
連戦、宋楚瑜の両氏 北京に降参か 中共が世界世論を操作
インターネットで中国共産党関連組織少年先進チームから脱出の声明を公開したため、4月28日に逮捕された、環境保護論者で人権と民主活動家の胡佳氏(北京在住)は、釈放後の5月7日に大紀元の取材に応じた。拘束中、警察から「連戦、宋楚瑜とも降参しようとしています、陳水扁もまもなく降参しますので、あなたは共産党と戦う必要がないでしょう」と話をされたことを打ち明け、北京が台湾野党に投降を勧めようとしている居丈高な姿勢について述べた。
「(共産党は)必要とする時だけ、人々を煽動し利用するが、必要でないときは、鎮圧する」と、反日デモ前後における、当局の正反対の動きについて胡氏は語った。
胡佳氏が語ったように、北京が連、宋の両氏を大陸を招き、降参を進めた裏にも、大変な利用価値があるようだ。両氏訪中と同時に、中共は、北京がコントロールしている海外中国語メディアや、海外親共マスコミと西洋メディアの親共派、スパイを使って、「中国共産党が良い方向に展開している」と宣伝攻勢を起こし、海外と国内における「共産党から脱退しよう」の潮流を隠そうとしている。一時的に、国民党が大陸へ復帰したことで民主化、両党政治の幻想熱が沸いている。その中、胡錦涛氏が予想外だったことは、連戦氏を歓迎した口実で青天白日旗(国民党の旗)を開けて、共産党への嫌悪感を示す人もいるようだ。
分析家によると、連戦氏の国民党と宋氏の親民党両党とも野党であり、共産党と実質的な会談をする立場にならないという。北京は両党を招く目的は、陳水扁総統に共産党と会談する方向へ向けさせようということで、台湾が、中国共産党を承認する既成事実を作らせることだとも言われている。その背後には、さらに、世界から、中国共産党の認知を引き寄せ、米政府の台湾問題への干渉を牽制し、台湾の最も強力なサポートであるアメリカを外させるねらいがあるという。ワシントンの中国問題専門家・石蔵山氏によると、北京の連・宋の両氏招待の背後にある真の意図は、胡錦涛総書記が国内で政権の威信を建て、権力を固め、党内の政権移転期の暗黒時期を渡り、バブルの危機にさらされている経済と脱党の流れを操作する対策であるという。
石蔵山氏は、当初蒋経国氏(中華民国第六期総統)が決定した、中国共産党に対する“三不(不接触、不妥協、不交渉)”政策は、単なる国共内戦で国民党が共産党に負けた怒りの言葉ではなく、共産党の本質と生き残る手段に対する明白な認識から得られた結論だと述べた。中国共産党の軍事化は独裁運営なので、いかなる道義的、原則的な規則もなく、苦境に立たせられると、いかなる虚構もすべて作り上げることができると石氏が語った。アメリカ元大統領ニクソン氏が、中国を初訪問した際、当局は、同氏が長城を登る前に、三、四十万人の民衆も集めて除雪をした。その結果、ニクソンの目に入った長城の景観は、ほかとはまったく違うものになったという例をあげて、石氏が北京政府の虚構をねつ造する体質を説明した。
石蔵山氏は、中国共産党は共産主義の意識形成が失敗したため、再びに絶対的な権威をもって社会の団結を維持することは、すでに不可能となっていると述べた。極端な愛国主義の熱狂を煽動し、台湾問題によって威信を“認知”させようとしている。国際社会の中共と訣別する運動、あるいは、大陸における共産党からの脱党の流れが広げる現時点、中共はベルリン壁の崩壊のような危機を突破しようと、台湾のスパイの活動により、連戦、宋楚瑜の両氏を大陸に招聘することで、国際社会からの承認を得ようと、生き残りをかけた最後の手段に訴えていると石蔵山氏は分析している。
いかなる芝居も演じられる中国共産党の本質について、国際社会や自由社会において、その認識は不十分で、中共が現在、世界世論を操作しようとしている動きもはっきり読み取れていないと、石蔵山氏は語った。中国共産党政権が崩壊する直前、国際社会から認知を得るために中共を助けた政治家と団体は、理性を欠いており、虚構をねつ造する中共の共犯者になっていると、石蔵山氏は警告した。