ファーウェイ事件の公判 「機密窃取に報奨金」の社内方針が明らかに

2026/10/14
更新: 2026/10/14

ファーウェイ・デバイス(Huawei Device Co.)で企業研修担当者を務めていたヘザー・キャンベル氏が10月13日、法廷で証言し、2013年7月に入手したファーウェイの内部文書について説明した。同文書によると、ファーウェイ本社は当時、世界各地の従業員に競合他社から機密情報を入手することを奨励し、報奨金を支払う社内方針を導入していた。事実上の「機密窃取に報奨金」という仕組みだった。

法律顧問が本社の方針を明かす

キャンベル氏の証言によると、同氏は2012年4月から2014年6月まで、テキサス州にあるファーウェイ・デバイスの事務所で勤務した。在職中は、同社の法律顧問シャルル・ド・シャトーヴィユー氏と同じチームに所属し、頻繁に顔を合わせていた。

2013年7月のある日、シャトーヴィユー氏は、本社が内部文書を配布し、世界各地のファーウェイの事務所に対して、競合他社から入手した機密情報を指定のウェブサイトにアップロードするよう求めたとキャンベル氏に伝えた。本社は奨励制度も設け、情報の価値に応じて、資料を提供した従業員に報奨金を支払うことにした。計画の審査と評価は「競争管理チーム」が担当していた。

キャンベル氏によると、シャトーヴィユー氏はこの件を「非常に懸念していた」

シャトーヴィユー氏には、この方針が基本的に従業員に「盗みに行く」ことを奨励するものと映ったためだ。シャトーヴィユー氏は、こうした行為は間違っていると考え、米国のファーウェイ・デバイスに対して、本社の方針に「反応せず、従わない」よう求めるメールを上司から受け取ったと明かした。

キャンベル氏自身は、その社内メールを直接見てはいなかった。しかし、会社が実際にこのような方針を定めたとは信じ難く、実情を自分で確かめたいと考え、関連する内部文書を見たいと思った。

キャンベル氏の疑念は、それ以前に起きた事件とも関係していた。2013年5月末、ファーウェイ・デバイスの米国法人の従業員1人がTモバイルの研究施設に入り、ロボットアームをひそかにノートパソコン用のバッグに入れて持ち出した。ロボットアームがTモバイルに返却される前、ファーウェイの技術者1人が装置を測定し、写真と測定データをメールでファーウェイとファーウェイ・デバイスの他の技術者らに送っていた。

キャンベル氏は、真相を確かめたいと強く思った。

内部文書に報奨金の基準を明記

その後、法律顧問のシャトーヴィユー氏は、社内6階の研修教室の外の廊下で、内部文書と関連メールの印刷物をキャンベル氏に渡した。そこで受け渡しをしたのは、人が少なく、他人に見られにくかったためだ。

文書を受け取ったキャンベル氏は、1人で駐車場に行き、車内で詳しく読んだ。

検察側が提出した裁判資料によると、中心となる文書の名称は「端末競争情報収集管理規範」だった。発信部署は「ファーウェイ・デバイス地域・顧客グループ管理部」発行承認者は劉江峰、日付は2013年7月10日で、同部署の全従業員を宛先とし、第2階層の部署の全責任者にも写しが送られていた。文書の末尾には、ファーウェイ・テクノロジーズ端末市場戦略分析部と記されていた。

文書は、競争情報の収集と管理を強化し、各種の競争情報を適時に伝達・共有して経営判断の参考とし、競争に関する業務の質と効率を高めるため、この規範を制定したと明記していた。

全従業員に競争情報を積極的に収集し、「端末競争コミュニティー」のプラットフォーム(huawei.comのURL)か専用メールアドレスを通じて本社に提出し、即時に共有・交流するよう求めた。各地域の端末事業部長を地域の競争情報管理の第一責任者とし、販売運営部が関連する管理業務を担当するとした。

奨励の原則は、等級別の報奨と即時の報奨(月ごとの報奨金支給)を採用し、「報奨のみで罰則は設けない」とするものだった。現場の従業員による積極的な競争情報の報告を促すためで、半年ごとに「競争管理優秀地域部」を3つ選び、公表して表彰することも定めていた。

報奨の対象には、競合他社の製品情報(製品ロードマップ情報は2千元、試作機は200元)、販売情報(取引価格は1千元、販売経路の構造と各階層の利益配分は500元)、顧客関係の動向、市場情報、小売データの集計(200元)、組織構造、意思決定系統、報酬体系(500元)が含まれていた。文書は、情報の機密区分に応じて異なる経路で発信するよう求め、原則として第1・第2等級の情報は、暗号化した文書を専用メールアドレスに送信することを定めていた。

ファーウェイの内部文書に記載された運用細則と競争情報の報奨評価基準(紐約東區聯邦檢察官辦公室)

米国法人、メールで本社方針への不参加を表明

規範の発表から2日後の2013年7月12日、ファーウェイ・デバイスの人事部長ジェニファー・ポンダー氏は、経営陣を代表して従業員にメールを送り、本社の報奨文書に対する対応を示した。

メールは、本社の報奨文書が、従業員に競合他社の機密情報を収集させ、金銭的な報奨を得ることを奨励しているように見えると指摘した。しかし経営陣は、こうした指示が一部の国では通常の商慣行とみなされる可能性があるとしても、米国では「われわれはこのような活動を認めず、参加もしない」と表明した。ファーウェイ米国法人の社内方針はこうした行為を明確に禁止しており、競合他社やその他の第三者企業の機密情報を収集しようとした米国の従業員は、最も重い場合には解雇を含む懲戒処分を受けるとした。

キャンベル氏は、車内で2つの文書を読み終えた後、数分間考え、他の管理職の反応を探ろうとしたと証言した。まず販売部門の責任者に関連文書を受け取ったか尋ねたが、相手はあまり気にしていない様子で、懸念も示さなかった。

キャンベル氏はその反応に納得できず、情報部門の責任者とも話した。相手は文書を見ていないと答えたため、同氏は駐車場で文書を見せた。キャンベル氏の記憶によると、相手は読んだ後、「これはひどい」と述べたものの、十分に真剣な態度を示さなかった。

その後、キャンベル氏は1人でしばらく考え、最終的に連邦捜査局(FBI)への連絡を決めた。文書はFBI捜査官のリー・アン・スウィーニー氏に渡した。スウィーニー氏は後に、ファーウェイ関連事件の捜査と起訴を担当するFBI捜査官となった。

蔡溶