エプスタイン文書 習近平が就任直後に温家宝の資産を調査か

2026/02/07
更新: 2026/02/07

米国司法省が公開したジェフリー・エプスタインに関する文書には、中国共産党(中共)の多くの高官が関わっていることが示されている。その中の一つのメールのやり取りにおいて、習近平指導部が当時、温家宝の海外資産を調査していたことが言及されており、この件は江沢民によって画策されたものだと記されている。

文書には、2012年11月18日に行われたエプスタインとその側近デビッド・スターンとの間の短いメールのやり取りが記録されている。
メールの中でエプスタインはスターンに対し、「沈棟(デズモンド・シャム)の妻に関するニューヨーク・タイムズの記事を見たか? 段という姓の女性だ」と問いかけている。
スターンはすぐに返信し、それは「(中共の)新指導層が温(家宝)の資産保有体系に対して行っている大規模な内部調査である」とし、この調査は習近平の前任者である江沢民によって綿密に画策されたものであると述べた。

公開資料によると、沈棟は中国のビジネスマンであり、著書『レッド・ルーレット(中国語題:紅色輪盤)』の中で、元妻の段偉紅とともに中共高官との関係を利用してビジネスでいかに成功を収めたかを記述し、中共の政財界が一体となった闇を暴露している。
ドイツ・ヴェレの報道によれば、沈棟と段偉紅は、かつての中共首相・温家宝一族の「ホワイトグローブ(資金洗浄などの身代わり役)」であったとされる。
上述のエプスタインのメールが送信される3日前の2012年11月15日、習近平は中共第18回全中一会で党首に昇進し、正式に政権を継承したばかりであった。

海外の時事評論家・江峰(ジャン・フォン)氏は、自身の番組で次のように指摘している。習近平が就任してわずか数日のうちに、「この(エプスタインの)メールは、習近平が政権発足後、最初に放った矢を驚くほど正確に捉えていた。それは『資産調査』の名を借りた内部粛清であり、特に温家宝一族の海外資産体系を標的にしたものだった」。さらに江氏は、「この文書は、江沢民が習近平の道を切り開く(場を清める)ために自ら画策した政治的取引であったことを明確に示している」と述べている。

従来の海外政治評論によれば、習近平の就任は、対立する江沢民派と胡錦濤派が互いに妥協した結果として実現したものだった。しかし、習近平は権力を握るやいなや、まずは胡錦濤派(共青団派)と手を組んで、政敵である江沢民派に対して「反腐敗」を掲げた大規模な粛清を断行した。ところが、江沢民派を弱体化させて自らの実権を完全に掌握すると、今度はかつての協力相手であった胡錦濤派をも整粛の対象とし、徹底的に排除していったのである。

エプスタイン文書には、温家宝や江沢民のほかにも、王岐山や李源潮など、多くの中共指導層が関わっている。あるメールでは、習近平と英国のアンドルー王子の親密な関係についても触れられている。アンドルー王子はエプスタインと密接な関係にあり、多くの性醜聞が暴露されている。

また、エプスタイン文書には中国のビジネス界の大物も多数登場する。エプスタインとスターンのメールの中では、二人の「非常に重要な友人」として、中国平安保険の元総裁である張子欣と、江沢民の長孫であり博裕資本(ボーユー・キャピタル)の創設者である江志成の名が挙げられている。

江峰氏は時事評論において、エプスタイン文書は、中共の最高権力層に君臨する一族の富のグローバル化が、エプスタインのような人物と深く結びついていることを示していると指摘した。エプスタインは博裕資本が海外で資本を得るのを手助けし、その見返りとして中共高官から「政治的免責」や「プロジェクトの優先権」を得ていた。この癒着の仕組みは、きわめて不透明な循環構造になっている。 エプスタインは、ウォール街の資金が中国へ流入する手助けをしながら、中共の「太子党」が、権力を利用して不正に築き上げた巨額の資産を海外へ逃がし、それを密かに運用・洗浄(マネーロンダリング)する役割を請け負った。一方で太子党は、エプスタインの持つ政財界への広大なコネクションを隠れ蓑にして、欧米社会での自身の評判を守り、批判を封じ込めるための「政治的な防護壁」を幾重にも張り巡らせていたのである。

陳鎮錦