H-1Bビザ詐欺暴露 米司会者がテキサスIT企業調査 社員ゼロのペーパーカンパニー実態

2026/01/24
更新: 2026/01/24

米国メディアの現地調査により、H-1Bプログラムを通じて外国人労働者を採用している一部の企業で詐欺的行為が行われていることが明らかになった。調査によれば、これらの企業は自宅住所を利用して架空の法人(いわゆるペーパーカンパニー)を設立し、ビザ制度を悪用して外国人を米国に呼び込んでいるという。

米メディア「BlazeTV」の司会者であるサラ・ゴンザレス(Sara Gonzales)氏は、テキサス州フリスコ地区において公開情報をもとに2社の「IT企業」を追跡調査した。その結果、これらの企業が雇用したとされる社員が実際には存在しないことを突き止めた。(動画リンクあり)

H-1Bビザ制度は、米国人では補えない専門職に外国人労働者を一時的に雇用することを認める制度である。ビザの有効期間は最長3年で、多くの場合さらに3年間の延長が可能である。

近年、共和・民主両党の議員がH-1Bビザの不正利用を懸念し、移民・国籍法の改正や制度廃止を提案している。

米国労働省(DOL)および米国市民権・移民局(USCIS)の規定によれば、H-1Bビザ保持者の勤務地は労働条件申請書(LCA)に厳密に紐づけられている。勤務地を変更する際は新たな申請が必要であり、この条件に違反した場合、雇用主は重い罰則を受けることになる。

住宅街の「オフィス」に社員不在、警察沙汰に発展

移民局の「H-1B雇用主データセンター」によると、「Qubitz Tech Systems LLC」というテクノロジー企業は2025年に13件のH-1Bビザを申請し、そのうち12件が承認されている。同社のビザ担当者として登録されているのはハリ・マディラジュ(Hari Madiraju)氏で、長年にわたり「ソフトウェア開発者」を海外から募集してきた。

ゴンザレス氏がQubitz社の登録住所を訪ねたところ、そこは住宅街の一角にある四寝室の一戸建て住宅であった。ドアを開けたのは「ハリ」と名乗る男性であったが、ゴンザレス氏の突然の訪問に明らかな不快感を示した。

ゴンザレス氏がQubitz社およびH-1B社員について尋ねると、ハリ氏は「警察を呼ぶ」と述べた。これに対しゴンザレス氏は「警察に来てもらって構いません。社員はここにいるのですか? 貴社の12人の社員はこの場所で働いているのですか」と問いただした。

ハリ氏は「自分の会社で働いている」と答えるにとどまった。ゴンザレス氏が「では、その会社はどこにあるのですか」と追及すると、ハリ氏は911へ電話をかけ、「誰かがドアを叩いて脅している」と通報した。

ハリ氏は「会社の住所はウェブサイトに掲載されている」と述べたため、ゴンザレス氏は指示された住所へ向かった。登記上は十数名の社員が勤務する本社であるはずだったが、実際にあったのは狭い一室に椅子が1脚と数枚の折りたたみテーブルが置かれているだけであった。

「この12人のH-1B社員がここで働くというのは、到底あり得ません」とゴンザレス氏はカメラに向かって語り、「信じがたい光景です」と述べた。

3Bees Technologiesも同様詐欺か? コワーキングスペースの闇

同様の問題は「3Bees Technologies Inc.」という別の企業でも確認された。同社はテキサス州の監査官ウェブサイト上では現在も事業継続中となっている。

H-1B雇用主データセンターによれば、同社の代理人・取締役・社長を務めるヴァムシ・クリシュナ・ヴァジナパリ(Vamsi Krishna Vajinapally)氏は、2022年に27件のH-1B申請を承認されたが、2023年には19件が却下された。同社は申請したH-1B労働者について、ソフトウェア開発者や品質保証アナリスト、エンジニア職としている。2022年に承認されたビザは現在も有効とみられる。

しかし、現地調査によると登記住所はテキサス州アービング市の住宅建物内にあり、さらに同社のウェブサイトに掲載された「最新の会社所在地」は工事中の建物であった。オフィス関係者の姿もなく、ソフトウェア開発に関する活動の痕跡も確認されなかった。

ゴンザレス氏は「この場所はいまクラブに改装中で、以前はWeWorkでした。誰でも借りられるコワーキングスペースだったのです」と説明した。

ビザ乱発の抜け穴

ゴンザレス氏はまた、「H-1Bデータベースを少し分析するだけで、こうした異常な事例はすぐに浮かび上がる。私たちが簡単な検索と現地確認だけでここまで把握できるのに、なぜ米国移民局は何の対応も取らないのか」と疑問を呈した。

「これは詐欺である。法律上の抜け穴を悪用し、偽装会社やペーパーカンパニーを介して数千人の外国人を不正に米国へ入国させている」と同氏は訴えた。

さらに、「会社を設立するには住所と数枚の書類だけで十分であり、自宅住所で登録することは非常に容易だ。その結果、『求人が多数ある』と装い、多くの人々のビザ申請を支援できる。こうして知人らがビザを取得して米国に渡ることが可能になるのだ」とも説明した。

また、英スカイニュースの司会者ジェームズ・モロウ(James Morrow)氏も、テキサス州で発生したH-1B詐欺事件を報道し、「不正業者がビザ制度を悪用して外国人を米国に呼び込んでいる」と指摘している。

林燕