米上院は月曜夜、9010億ドル規模の国防権限法(NDAA)案を承認した。この法案は次会計年度の国防政策や予算枠を定めるもので、議会において成立が不可欠な重要法案である。
上院は超党派による77対20の採決で本案を可決した。今後、ドナルド・トランプ大統領のもとに送られ、署名を経て法律として成立する。
同法案は12月10日、米下院において312対112という大差の超党派支持ですでに可決されていた。下院では共和党員18名、民主党員94名が反対票を投じた。
この草案は、国防総省に関する巨大な法案を巡る数ある提案の中で最新のものであり、下院と上院がそれぞれ提出した旧バージョン間の妥協案として提示された。
以前の下院案はホワイトハウスによる8930億ドルの予算要求に沿ったものだったが、上院の当初案は国家安全保障プログラムに9250億ドルの資金を認める内容であった。現在の草案はその中間に位置し、総額は9010億ドルとなっている。
これにより、法案が署名されれば、2024会計年度の過去最高額8860億ドルを塗り替え、米史上最高額のNDAAとなる見込みだ。
ただし、厳密には、NDAAは予算の執行を直接認めるものではない。実際の支出には、別途可決される歳出法案が必要となる。
NDAAの役割はあくまで、次年度の国防総省の活動方針や優先事項を定めることにある。つまり、軍事・核・国家安全保障などの各プログラムを実施するための法的根拠を与えるのがその目的である。
軍用機の規制
今年のNDAAを巡る主な論争点の一つは、軍用機の規制に関する文言であり、テッド・クルーズ上院議員(共和党、テキサス州)とマリア・キャントウェル上院議員(民主党、ワシントン州)の両名から批判を招いている。
具体的には、2026会計年度のNDAA草案には、一部の軍用機に対し、正確な位置情報を発信せずに運用することを認める免除規定が含まれている。
軍用機によるこうした運用は1月以来、禁止されている。当時、この慣行が原因でワシントンのロナルド・レーガン・ナショナル空港近くのポトマック川上空で悲惨な衝突事故が発生し、2機に乗っていた67名全員が死亡したためである。
月曜日、クルーズ氏とキャントウェル氏は犠牲者の遺族らと共に記者会見を行い、NDAAからこの免除規定を削除するよう議会に求めた。
しかし、法案はすでに下院を通過しているため、修正を行えば最終的な可決が遅れることになり、変更が行われる可能性は低い。
クルーズ氏は、この問題が解決されない場合、1月に再び政府機関の閉鎖を招くと警告している。
月曜日にこれらの規制に関する懸念について問われたジョン・スーン上院多数党院内総務(共和党、サウスダコタ州)は、クルーズ氏とキャントウェル氏が昨夏に提出した「ROTOR法」と呼ばれる法案を、今週の政府予算案に追加するための採決を行いたいと回答した。
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