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Xの新機能で中国本土アクセスが露呈 プロパガンダ疑惑に専門家警鐘

2025/11/28
更新: 2025/11/28

Xが11月22日に導入した最新機能により、アカウントの「最近の接続地域」が表示されるようになったことで、長年「海外在住」を自称してきた中国語アカウントが大きな注目を集めている。多くのユーザーが、これらのアカウントがVPNを使用せずに中国本土からログインしていることを指摘した。

専門家はこの現象について、中国共産党(中共)政府公認の人員、場合によっては受刑者を含む許可を受けた人員が運行している可能性が高いと見ている。

この新機能では、ユーザーは任意のアカウントについて「アカウント作成日」「過去のユーザー名変更履歴」「アプリが最後に接続した地域」などの基本情報を確認できる。IPアドレス全体は表示されないが、VPNの使用有無は示される仕様となっている。

人権団体「Human Rights in China(中国人権)」は、アメリカなど海外在住の中国人を装っていたアカウントが、実際にはVPNを使わずに中国本土から直接アクセスしている具体例を投稿した。

中国では、中共政権による厳格なインターネット検閲(グレート・ファイアウォール)のため、政府が特別に許可した場合を除き、VPNなしでXなど海外SNSにアクセスすることは原則として不可能である。

台湾国防安全保障研究所の謝沛学研究員は次のように説明した。

「中国国内でVPNを使わずに海外SNSに直接アクセスできるのは、ごく少数の政府公認の機関や人員に限られる。問題となっているアカウントは、刑期短縮と引き換えにネット工作を課された受刑者か、国家公認のネット評論員によって運用している可能性が極めて高い」

謝氏は、これらのアカウントが「海外の自然な中国人の声」を装いながら、中共が望む政治的主張を広めるために組織的に運用してきたと指摘。新機能の登場で「中国本土」と表示された途端に偽装が崩れ、即座に信用を失うことになると述べた。

謝氏の見解は、これまでにも報じられている中共当局が認めた職員・外部業者・さらには受刑者を動員してネット世論操作を行っている実態と一致する。

見抜きにくい巧妙な工作

さらに謝氏は「今回の機能であぶり出されるのは下部組織レベルの工作に過ぎない」とも警告。より巧妙な運用者らは、海外の乗っ取った端末を経由したり、外国のPR会社やインフルエンサーに投稿を外注したりすることで痕跡を隠すことができるという。

オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学の政治学博士、林松氏も「Xの新機能は外国政府によるプロパガンダ特定への有用な第一歩ではあるが、アルゴリズムだけでアカウントの実質的所有者を証明できるわけではない」と慎重に評価。

林氏は、中国国内のSNSは身分証明書と紐づけた携帯電話による本人確認が厳格に義務づけられている一方、国際的なプラットフォームには同様の仕組みが長らく存在しなかったため、共産党にとって西側SNSは政治プロパガンダの格好の舞台となってきたと指摘する。

加速する技術競争

同氏はまた、同一施設から大量のアカウントが投稿しているような「ログイン地点の集中」を確認すれば、刑務所内でのプロパガンダ作業に関する従来の報道を裏付ける証拠になり得ると述べた。

専門家らは今後、アカウントの真正性を確認しようとするプラットフォーム側と、それを回避しようとする影響力工作ネットワークとの間で、技術競争が続くと予測している。ただし謝氏は、たとえ部分的な透明化であっても状況を大きく変える可能性があると指摘する。

「オンライン上の認知戦で最も困難なのは、『誰が発信しているのか』という責任の所在を特定することだ。今回のXの新機能は、国家支援のプロパガンダ発信者を他国が見分けるためのコストを大幅に下げた」と述べた。

中国関連の話題に焦点を当てる大紀元の寄稿者です。