【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

GM サプライヤーに中国製部品排除指示 サプライチェーン再編へ

2025/11/14
更新: 2025/11/14

米ゼネラル・モーターズ(GM)が部品メーカーに中国製の部品排除を指示。各サプライヤーに調達先の多様化を求め、サプライチェーン再編と脱中国を加速させている。

事情に詳しい4人の関係者によると、GMは数千社に及ぶサプライヤーに対し、サプライチェーンから中国製部品を排除するよう指示したという。これは地政学的緊張の高まりの中で、同社が「中国製」への依存脱却を加速させていることを示す動きである。

関係者がロイター通信に明らかにしたところでは、GMの経営幹部は原材料や部品について中国以外で代替調達先を確保するようサプライヤーに求めている。最終的な目標は、中国からの依存を完全に解消し、サプライチェーンを段階的に移管することであるという。複数の情報筋によれば、GMは一部のサプライヤーに対し、2027年までに中国との調達関係を終了するよう期限を設定している。

背景:地政学的リスクとサプライチェーンのレジリエンス

GMが一部のサプライヤーにこの方針を伝えたのは2024年末であったが、関係筋によると、今年春の米中貿易摩擦の激化を受けて取り組みの緊急性が一段と高まったという。経営陣はこれをサプライチェーンのレジリエンス(強靭さ、回復力)を高めるための包括的戦略の一環と位置付けている。

米中間の政治的緊張と関税戦争が続くなか、レアアース供給の制約や半導体不足への懸念が広がっている。自動車メーカーは長年依存してきた中国との取引関係を見直す必要に迫られており、中国はこれまで主要な部品および原材料の供給国として、自動車産業にとって不可欠な存在であった。

自動車メーカーや部品サプライヤーはすでに、トランプ大統領の呼びかけに応じ、アメリカ国内での投資と雇用創出を拡大する動きを見せている。業界関係者によれば、超党派政策のもとで米中関係が長期的に変化しているとの認識が強まっており、複数の企業が数十年にわたり築いてきた中国事業の縮小や撤退を進めている。

GMの方針と対象範囲

今回のGMの指示は、北アメリカで製造される車両向けの部品および素材を対象としている。GMにとって北アメリカは世界主要拠点の一つである。関係者によると、GMは北アメリカで使用する部品を可能な限り北アメリカ域内で調達する方針を掲げる一方、アメリカ以外の地域での調達も視野に入れているという。

また、この指示は、ロシアやベネズエラなどアメリカが国家安全保障上の懸念から貿易制限を課している国々にも及んでいる。ただし、リストの中では中国が依然として最大の自動車部品供給国である。

GMはこれまでも中国依存の低減を進めており、電池素材や半導体については調達先の多様化を図っている。たとえば、アメリカのレアアース関連企業との提携によってネバダ州のリチウム鉱山へ投資を進め、将来の電気自動車用バッテリー材料の国内調達強化を図っている。しかし、今回の新方針はそれ以上に幅広く、より基礎的な部品や原材料にも及ぶものである。

GMのグローバル購買部門トップ、シルパン・アミン(Shilpan Amin)氏は先月の会議で、「供給中断リスクが、自動車メーカーに『最も安価な国からのみ調達する』という従来モデルの見直しを迫っている」と述べた。

同氏はさらに「レジリエンスは極めて重要であり、サプライチェーンをより厳密に管理し、製品の出所を正確に把握することが不可欠だ」と強調した。

サプライチェーン再編の課題と展望

ただし、GMが指示を出したとはいえ、部品サプライヤーの間では中国以外へのサプライチェーン移転は高コストで極めて複雑な作業であるとの認識が強い。自動車部品協会(MEMA)のコリン・ショー(Collin Shaw)代表は、「これらのネットワークは20~30年かけて構築されたものであり、数年で解体することは容易ではない」と指摘。そのうえで、「デリスキング(リスク低減)」は長期的な課題になると見通している。

李言