全国でクマ被害が急増する中、木原稔官房長官は28日の記者会見で、関係省庁に対しクマ被害対策パッケージの見直しと専門人材育成を指示したことを明らかにした。

クマ被害パッケージは、 環境省 が中心となり、農林水産省、林野庁、国土交通省、警察庁など複数の関係省庁が連携して、クマ類による人身被害・農林被害の抑制を目的にまとめられた「総合的な施策枠組み」だ。

木原長官は「非常に深刻な状況だ」と強調し、30日に防衛省を含む関係省庁会議を開き、被害実態の把握と迅速な対応策の検討を進める方針を示した。

日本全国でクマによる被害は増加傾向にある。特に被害が深刻な秋田県の鈴木健太知事は、小泉進次郎防衛相と防衛省内で面会し、県内で続発するクマ被害に対応するため、自衛隊によるわなの設置や駆除した個体の輸送などの後方支援を要請した。

鈴木知事は「人手や物資が足りず限界を超えている」と現状を説明し、防衛省幹部も派遣に向けて関係調整を進めている。自衛隊の派遣は隊員が銃器を携行せず、捕獲活動の後方支援に限定される見通しだ。

被害増加の背景には、人口減少や過疎化で山林と人里の緩衝帯が減少し、クマが人間の生活圏に入り込みやすくなっていることや、気候変動で主要な食料である堅果類の減少が挙げられている。また近年メガソーラー施設が全国的に増加していることから、クマの餌場が減少し、人間の生活区域に出てきていると指摘する声もあがっている。