9月21日、チャーリー・カーク氏の追悼式がアリゾナ州で行われ、約9万人が集まった。21日、オハイオ州デイトン市郊外の小さな町ウェインズビルでは、約1千人が集まり、カーク氏を偲ぶ集会が行われた。
地元の納屋の側面に描かれた巨大な壁画の前に市民が集まった。作品は、暗殺されたカーク氏を追悼する目的で描かれたものである。
壁画を描いたのは、壁画家として全米各地を旅し、歴史的瞬間や地域の物語を建物の壁面に描き続けてきたエリカ・アーンツ氏。彼女はオハイオ州センタービルと、もう一つの拠点であるジョージア州北部の山間部で暮らしながら、芸術活動を続けている。
9月10日、カーク氏が暗殺されたというニュースをジョージア州の自宅で知ったアーンツ氏は、深く心を動かされ、「何か永続的な形で彼を称えたい」との思いから壁画制作を決意した。ソーシャルメディア上で「大きな壁を提供してくれる人はいませんか?」と呼びかけたところ、センタービルとウェインズビルの間に5エーカー(約2万平方メートル)の土地と、縦12フィート(約3.6メートル)・横120フィート(約36メートル)の金属製納屋を所有するジェフリー・ハイル氏が申し出た。ハイル氏の恋人であるダニエル氏はアーンツ氏の高校時代の同級生であり、この縁から場所の提供が決まったという。
アーンツ氏はカーク氏の死からわずか4日後の9月14日に制作を開始し、4日間で壁画を完成させた。制作過程の写真はSNS上で数十万回もシェアされた。

9月21日に行われた追悼集会では、祈りと証しが捧げられ、多くの参加者がカーク氏の肖像が描かれた衣服を着て、アメリカ国旗を手に集まった。ハイル氏自身はカーク氏について事件が起きるまで知らなかったが、「この出来事を通じて無関心から目が覚めた」と語り、「地域社会のために自分なりの貢献をすべきだと気づかされた」と述べた。
アーンツ氏はイベントで、「チャーリー・カーク氏はこの世界の悪を明らかにした。今こそ彼の声が最も大きく響いている」と涙ながらに語った。また、「私にとって絵を描くことは、世界と向き合うための方法であり、感情を整理する手段でもある。カーク氏の死は私にとって非常に大きな衝撃で、彼のように国を愛した人のために何か永遠に残るものを作らなければという使命を感じた」と述べた。
アーンツ氏はさらに、「壁画には人々をつなげる力がある。それは、今私たちがここでしているように、共に祈り、癒し、考えるための共有空間になる。地域が痛みに包まれたとき、芸術は希望と癒し、そして共有する価値観を思い出させてくれる」と述べた。
イベントには、オハイオ州南西部や中部から多くの人々が車で駆けつけた。参加者の一人であるロドニー・ベイリー氏は家族と共にアメリカ国旗を手に参加し、「こんなひどいことをする人がいるとは信じがたい」と述べた上で、「全国の人々が彼の価値観を支持して立ち上がる姿を見ると希望が湧いてくる。それが私たちがここにいる理由だ」と述べた。

アーンツ氏は2024年7月13日、トランプ氏がペンシルベニア州バトラーで暗殺未遂に遭った後、初めて政治的な題材に取り組むようになった。アーンツ氏はその時、銃撃を受けた直後に拳を突き上げたトランプ氏の姿を描いた油絵を制作した。しかし、その作品をSNSで公開したところ、3千人ものInstagramフォロワーを一晩で失い、アトランタの一部企業ではアーンツ氏の作品が塗り潰されるなどの批判を受けた。
「私は感情に従って描くタイプの芸術家で、政治がこれほど人の感情を揺さぶるものだとは、それまで知らなかった」「以前は馬やネイティブアメリカン、バッファロー、風景などを描いていて、全く問題はなかったが、トランプ氏の絵が初めての『論争作』になった」とアーンツ氏は述べた。
だが、今回のカーク氏の壁画に対しては、圧倒的に好意的な反応が寄せられているという。アーンツ氏は「トランプ氏に関する投稿では必ず批判がついてくるが、カーク氏の壁画にはそれがない。むしろ、彼のレガシーが人々の心に火をつけ、復興の機運が高まっている」と発言した。
当初、アーンツ氏はミシガン州の家族の別荘でカーク氏の肖像画を描く予定だったが、ハイル氏の提供によって壁画プロジェクトが実現した。現在は、全国から同様のプロジェクトの依頼が寄せられており、そのいくつかはチャーリー・カーク氏をテーマにしたものであるという。
彼女は今後、カーク氏の油絵を制作し、カーク氏の妻、エリカ・カーク氏に贈ることを予定している。
「たくさんのメッセージとメールが届いており、すべてに目を通して返事をする予定だ。この反響は本当に励みになる」「多くの人がこの出来事に心を痛め、喪失を感じている。カーク氏に会ったことがない人も多いだろうが、彼の信念に共感し、エリカ・カーク氏の強さを尊敬しているのだ。そして皆、それぞれのやり方で彼の遺志を引き継ぎたいと願っている」とアーンツ氏は述べた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。