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存在しないパレスチナ国家の承認 思想には結果が伴う

2025/09/24
更新: 2025/09/25

論評

いまなおその種のものが存在するとすればだが、主要西側4か国が、存在しないパレスチナ国家を承認したというのは奇妙だ。理由はあるはずで、確かにある。しかし、思想には結果が伴う。恐ろしい思想からは、恐ろしい結果が生まれる。

ハマスが複数の国によるパレスチナの国家承認を「2023年10月7日の虐殺的侵攻の『成果の一つ』」とした。それによって、その恐怖と愚かさが即座に浮き彫りになった。

(理想に燃えた若いイスラエル人やその家族の、焼損・性的損壊の遺体とともに)人々がカナダのマーク・カーニー首相、英国のキア・スターマー首相、オーストラリアのアンソニー・アルバネーゼ首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領に警告していた通りだ。しかも、それはハマスにとって筋の通った反応だ。

それがロシュ・ハシャナの始まりに、そして実際には存在しない「ジェンダー平等週間」に重なったことは、この決定の特異さをいっそう際立たせる。また、4か国が足並みをそろえて決めたことは、勇気を示すものとは言い難い。また、明確さにも欠ける。なぜなら、多くの人が指摘するように、核心的な問題は、いわゆるパレスチナ国家が実在せず、そうであるかのように振る舞うことはテロリストに報いることに他ならないからだ。

「存在しない」件について、Xのある投稿はこうした挑戦を突きつけた。「全国メディアや議会報道関係者の私のフォロワーの皆さんに面白い課題があります。カーニー首相かアニータ・アナンド氏(カナダ外相)に、今回新たに承認された独立国家パレスチナの国境を地図上で示すよう求めてください」

同様に、元下院議員のケビン・ヴォン氏は鋭く問いかけた。

「カナダはいったい何を承認しているのですか。この新たに主張される国家の国境はどこですか。首都はどこですか。誰が政府を組織するのでしょうか。誰がその指導者になるのでしょうか。ガザとヨルダン川西岸で、それぞれハマスとPA(パレスティナ暫定自治政府)の鉄の支配下にとどまるパレスチナ人を、これはどう助けるのですか。そもそも、いつカナダ国民はこれに投票したのでしょうか。自由党の選挙公約にあったのですか」

「テロに報復する」について言えば、7月に承認の意向を発表した際、カーニー氏はいくつもの「存在しない条件」を並べた。

「パレスチナ自治政府のアッバス議長が統治を根本的に改革し、2026年にハマスが関与しない総選挙を実施し、パレスチナ国家を非武装化するという公約」をして「ハマスは10月7日の恐ろしいテロ攻撃で拉致した全ての人質を即時解放し、武装解除し、将来のパレスチナの統治に一切関与しないこと」

私がそれらを「存在しない」と呼ぶのは、履行が承認の条件ではなく、履行を合理的に期待できる根拠もなく、そして何より決定的に、「もし彼らがそうしなかったら?」という問いへの応答がなかったからだ。

カーニー氏は、反ユダヤ主義を改めないテロリストのアッバスが、4年の任期を20年目に突入した今、2026年に選挙を実施しなかったとしても、承認を取り消すつもりはない。もしハマスがパレスチナ人の間で人気があるなら、彼らを無視することは非民主的で高圧的であるだけでなく、妄想的だ。もしパレスチナ人の大多数がテロを支持していたらどうなるのか?

ここで我々は、この承認の腐った核心に近づく。これは、侵略は恐怖から生じ、道徳的・精神的・軍事的に優位な立場から一方的に譲歩し、それを肯定するような、まるで心理療法のような宥和の考えに基づいている。

このため、イスラエルを「国際法違反」と断罪したのち、カーニー氏はこう述べた。「パレスチナ自治政府が率いるパレスチナ国家を承認することは、平和的共存とハマスの終焉を求める人々に力を与える。これはテロを正当化するものではなく、テロへの報奨でもない」 

スターマー氏も同様の主張をした。「平和と二国家解決への希望を蘇らせるため、私はこの偉大な国の首相として明確に述べる。イギリスはパレスチナ国家を正式に承認する」と。イスラエルを侮辱したのち、「はっきりさせておくが、この解決策はハマスへの報奨ではない」と付け加えた。

あなた方は明確だ。そして明らかに間違っている。

私が理念を真剣に受け止めよと主張する時、特にあなたが嫌悪し奇怪だと感じる人々の言動に関してそう言う時、私は相対主義に滑り込めと勧めているのではない。私は、ある状況について一つ以上の見方がそれぞれの内部で整合的でありうることを認識してこそ、それらの中から合理的に、責任を持って、そして決断力を持って選択しなければならないと言っている。

例えば、承認によってハマスやパレスチナ自治政府が完全に拒否する「二国家解決」を穏健なパレスチナ指導者が受け入れるようになるのだろうか?  それとも、イスラエルを地図から消し、ユダヤ人を排除するという過激な主張とともに、さらに多くのテロや挑発的な発言が続くだろうか。もし後者のような結果になれば、私たちの指導者の見立ては、ひどく誤っており、常軌を逸していたことが露呈する。

すでにイギリスの「パレスチナ代表部長」は、承認は「正義、平和、そしてイギリスの植民地の遺産、バルフォア宣言、パレスチナ人追放におけるイギリスの役割を含む歴史的不正の是正に向けた不可逆的な一歩」を画する、と高笑いした。バルフォア宣言とは、古代のユダヤ人の故地の回復を約した中核の約束である。なんてことだ。あなた方は平和の希望を復活させる賢明な政治家だと主張していたのに。

バルフォア宣言

1917年11月2日にイギリス政府が発表した声明。イギリスのバルフォア外相が、ユダヤ人コミュニティの指導者宛てに書いた書簡で「イギリス政府は、パレスチナにユダヤ人の国民的 homeland(祖国)を設立することを支持し、その実現のために最善を尽くす」と述べた。

 

これは、ひどい理念に突き動かされた、ひどい決定である。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。