X(旧Twitter)が公開した最新の透明性レポート(2024年7月〜12月期:https://transparency.x.com/en/reports/global-reports/2025-transparency-report)で、日本の政府・法執行機関による投稿削除要請が世界全体の7割を占めていることが明らかになっている。要請件数は6万9186件にのぼり、全世界の総数9万7006件のうち約71%を占め、突出した水準となっている。
削除要請件数で2位のトルコ(1万1107件)を大きく引き離し、EU全体(3831件)、韓国(1835件)を圧倒した。Xは日本からの要請に対し、83.64%という高い割合で対応しており、政府が要請をした多くの投稿が有効と認められている。
削除要請に加え、アカウント情報の開示を求める「情報開示請求」でも、日本は積極的な姿勢を示し、件数は2607件で、米国(3788件)に次ぐ世界第2位だった。
背景には、ネット上の誹謗中傷やプライバシー侵害への厳格な対応、特殊詐欺や違法な求人募集への取り締まり強化などがあるとみられる。一部では著作権関連の案件も含まれる可能性が指摘されている。
21日の自民党広報のX公式アカウントは次のように投稿した。
「安心して意見を交わせる自由で健全な言論空間は民主主義を守るために必要です。自民党はSNS等における偽・誤情報の投稿や悪質な誹謗中傷を繰り返すアカウントに対しては、事実に基づき、必要に応じて開示請求といった法的措置を含む対応を適切に行ってまいります」
しかしこうした投稿に対して「誹謗中傷は別としても、誤情報はどうやって証明や認定を行うのですか? 表現の自由を奪うのは憲法違反です。 政府が自ら憲法を侵すなど、あってはならない」というコメントなど、「誤情報」「悪質」とはどういう基準で誰が決めるのか? といった疑問を問いかける投稿も見られた。Xは「各要請を法的観点から慎重に審査し、要件を満たさない場合は対応しない」と強調している。
今回のデータは、日本の公的機関が違法・有害コンテンツ対策を積極的に進めている姿を示す一方、他国と比べて公権力がオンライン言論に強く介入している実態を浮き彫りにした。「表現の自由」と「安全な利用環境」の両立をめぐる議論が改めて問われている。
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