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アメリカ保守系論客チャーリー・カーク氏 31歳で暗殺

2025/09/11
更新: 2025/09/22

保守系論客であり「ターニング・ポイントUSA」の創設者であるチャーリー・カーク氏が、9月10日、ユタ州オレムのユタ・バレー大学で学生たちを前に講演中、銃撃を受け死亡した。享年31歳であった。  

現地時間午後12時10分頃、カーク氏が「アメリカン・カムバック・ツアー」の一環として講演していた際に一発の銃弾が発射され、首に命中した。直ちに警護チームにより病院へ搬送されたが、数時間後に死亡が発表された。遺族には妻エリカ氏と二人の子供がいる。  

ターニング・ポイントUSAの創設者であるカーク氏は、近年の選挙で若年層を動員するなど、熱烈な保守系政治活動で知られていた。若くしてイーグルスカウトの称号(ボーイスカウトにおける最高位の称号)を得て、後に政治活動への道を切り開いた。  

Illustration by The Epoch Times, Google Earth

カーク氏が初めて政治の世界に足を踏み入れたのは、高校在学中に上院議員選挙のボランティアを務めた時であった。その後、教科書に潜む「進歩的偏向」を批判したことで注目を浴び、以降は全米の大学を巡り学生と議論を重ねた。「prove me wrong(間違っているなら証明せよ)」と銘打った討論ブースを設けることも多く、トランプ政権の側近としてホワイトハウスを頻繁に訪問し、メディアやSNSを通じてその政策を支持した。最近ではカリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム氏の新ポッドキャストにも出演した。  

ドナルド・トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」でカーク氏を「伝説的人物」と称え、全米の国旗を半旗掲揚するよう指示した。  

2025年9月10日、ワシントンD.C.でユタ州で政治活動家チャーリー・カークが暗殺された後、アメリカ国旗が半旗に下げられた。Kent Nishimura/Getty Images

事件直後には高齢の男性が逮捕されたが、取り調べ後に釈放された。その後、FBI長官カシュ・パテル氏は午後6時21分(米東部時間)に容疑者を拘束したと発表したが、数時間後にはこの人物も取り調べ後に解放されたことを明らかにした。パテル氏は「捜査は継続中であり、透明性の観点から情報は随時公開する」とXに投稿した。  

ユタ州のスペンサー・コックス知事は記者会見で本件を「政治的暗殺」と表現した。警察によると銃撃は大学構内の建物から行われ、三階もしくは屋上と見られ、遠距離狙撃であった可能性が高いという。防犯カメラ映像の解析が進められており、容疑者は黒衣をまとっていたことが確認された。共犯者がいる証拠はないとされている。  

コックス知事は「些細な情報でも結構だ。銃撃犯に関する情報を求めている」と呼びかけ、「犯人を必ず見つけ、法の下で最大限の責任を負わせる」と宣言した。またユタ州には死刑制度が存在することを指摘した。  

カーク氏は近年、世界で最も著名な保守系活動家の一人となり、言論の自由を積極的に擁護していた。2019年には「ターニング・ポイント・アクション」を設立し、数年で全米最大規模の草の根保守組織へと成長させた。同団体は、若い有権者を中心に活気を育み、トランプ氏やフロリダ州知事ロン・デサンティス氏らの支援集会も主催してきた。  

保守派コメンテーターでターニングポイントUSAの創設者であるチャーリー・カーク氏が、2024年10月17日にツーソンのアリゾナ大学キャンパスで行われた会議で演説。Olivier Touron/AFP via Getty Images

カーク氏の死を悼む声は国内外から相次いだ。トランプ氏は「米国の若者を最も理解していたのはチャーリーだった」と称賛し、妻エリカ氏と家族へ弔意を表した。副大統領JDヴァンス氏はXに「永遠の安息を主よ、彼に与えたまえ」と投稿。下院議長マイク・ジョンソン氏(共和党、ルイジアナ州選出)は議会で記者団に対し、「今回の出来事は忌まわしいことだ。今や米国社会では政治的な暴力があまりにも頻繁に起きているが、これは私たちの本来の姿ではない。それは我が国の根本的な原則、ユダヤ・キリスト教的伝統、市民社会、そしてアメリカ的生活様式に反しており、直ちに終わらせなければならない」と語った。

また、イスラエルのネタニヤフ首相もXで祈りを捧げ、バラク・オバマ元大統領とミシェル夫人、ジョー・バイデン前大統領夫妻も哀悼の意を示した。アルゼンチン大統領ハビエル・ミレイ氏は「自由の思想を広めた勇敢な伝道者を世界は失った」と述べた。  

ターニング・ポイントUSAは声明を発表し、「チャールズ・ジェームズ・カークは銃撃により殺害された」と伝え、「主の慈しみの腕に迎え入れられることを祈る」と結んだ。団体は国民に対し、遺族のプライバシーと尊厳を尊重しつつ祈りを捧げてほしいと呼びかけた。  

エポックタイムズ記者。米国政治と米国議会を担当
Emel Akan
エポックタイムズのホワイトハウス上級特派員、トランプ政権担当記者。 バイデン前政権とトランプ第一次政権時は経済政策を担当。以前はJPモルガンの金融部門に勤務。ジョージタウン大学で経営学の修士号を取得している。
カリフォルニアを拠点とする熱心な読書家であり、ジャーナリズムである。大紀元の金融、政治、州議会、そして速報ニュースを担当している。