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メキシコのシェインバウム大統領 中国製品への新関税を検討 自動車や繊維などが対象

2025/09/05
更新: 2025/09/05

メキシコのシェインバウム大統領は、中国を含む自由貿易協定未締結国からの輸入品に対し、新たな関税を導入することを検討。自動車や繊維など幅広い分野が対象となり、国内産業の保護と米国との連携強化を目的としている。米中競争が激化する中、メキシコの新方針は国際的にも注目されている。

シェインバウム大統領は9月4日、メキシコが中国を含む自由貿易協定を結んでいない国からの製品に対し、新たな関税を課すことを検討していると述べた。

新関税はシェインバウム政権の政策「メキシコ計画(Mexico Plan)」の一環である。アメリカのトランプ大統領が一部のメキシコ製品に関税を課しているのに対し、メキシコの方針は自国産業の振興を目的としたものである。

シェインバウム大統領は4日の定例記者会見で「われわれは関税を『メキシコ計画』の一部として検討している。これは政権発足以来掲げてきた方針である」と述べた。

関税の対象はメキシコと貿易協定を締結していない国々であり、中国もその一つだが唯一ではないと指摘した。

対象となる製品や産業については具体的な言及を避け、「時期を見て発表する」と述べた。関税率についても詳細は明らかにしなかった。

メキシコは「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の加盟国である。この協定はトランプ大統領の最初の任期中に交渉が進められ、従来の「北米自由貿易協定(NAFTA)」に代わるものとなった。USMCAでは三か国による6年ごとの合同審査が定められている。

ブルームバーグの報道によれば、メキシコ政府は今月発表予定の2026年度予算案に、中国を含む一部アジア諸国からの輸入品への関税引き上げを盛り込んだ。新関税は自動車、繊維、プラスチックなど複数の製品を対象とし、安価な輸入品から国内企業を守ることを目的としている。

中国乗用車市場情報連席会(CPCA)のデータによれば、近年メキシコにおいて中国製自動車の需要が急増している。今年、メキシコはロシアを抜き、中国製自動車の最大の輸出先となった。

米中関係の競争が激化する中で、メキシコの新関税措置はトランプ大統領の意向にも沿う内容となる。

トランプ政権は、安価な中国製品がメキシコ経由で米国市場に流入することを阻止するため、メキシコに対し中国製輸入品への関税引き上げを求めてきた。これを踏まえ、メキシコ政府は「北米の砦(Fortress North America)」構想を提案し、中国製品の輸入制限と同時に、米国・メキシコ・カナダ三国間の貿易や製造業の連携強化を進めている。

メキシコはすでに中国製自動車に最大20%の関税を課しているが、米国の関税と比べるとまだ低い水準にとどまっている。前バイデン政権は中国の電気自動車に対する関税を100%に引き上げ、多くの中国製ソフトウェア搭載車両の米国への流入を禁止していた。

トランプ大統領は選挙戦の最中から、中国製自動車がメキシコ経由で米国に流入するのを防ぐため、必要な関税を課すと公言していた。

張婷