ベッセント米財務長官は9月2日、Xで8月の関税収入が310億ドルを超え、単月として過去最高を記録したと発表した。
財務省の発表によると、8月29日時点での関税収入は約313億ドルに達し、会計年度累計では1835億ドルとなった。ベッセント氏は「徴収額の増加により、トランプ政権は混乱した財政の立て直しを進めている」と強調した。
同氏は先週、トランプ米大統領の関税収入が年間5千億ドルを超える可能性があると述べ、当初見積もりの3千億ドルから大幅に上方修正した。「将来的には1兆ドル規模に迫る可能性もある。政権は財政赤字改善に大きく貢献している」と語った。
議会予算局(CBO)は先月、関税の導入により今後10年間で財政赤字が約4兆ドル縮小すると試算。従来の2.5兆ドルから大幅に増加した。
関税を巡る司法判断
一方、連邦巡回区控訴裁判所は8月29日、トランプ氏が1977年制定の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき発動した関税措置の大半を違法と判断した。判決は11人中7人の多数意見で、大統領権限の逸脱を認定。「同法は大統領に幅広い対応を認めているが、関税や税の賦課権限は含まれていない」と指摘した。
最高裁での争いへ
関税は10月14日に高裁の判決が発効するまで維持される。トランプ氏は9月2日、記者団に対し「関税がなければこの国は深刻な危機に直面する」と述べ、この訴訟を「これまで裁判所に持ち込まれた中で最も重要な案件の一つ」と位置づけている。
3日、トランプ政権は最高裁に対し上訴受理を求める申立書を提出し、この判断の見直しを要請した。政府はまた、別の申立書で、審理を迅速に進めるよう最高裁に要請した。
トランプ氏はSNSトゥルース・ソーシャルに「関税がなくなれば米国は壊滅的な打撃を受ける」と投稿。「巨額の貿易赤字や各国の不公正な関税・非関税障壁はもはや容認しない」と主張した。
ベッセント氏も「最高裁は大統領の権限を支持するだろう」との見方を示す一方、仮に認められなくても他の制度を使って関税を導入できると強調。「アメリカの貿易赤字は拡大し続けており、破局を防ぐことは緊急の課題だ」と危機感を示した。
一方、関税に反対する人々は、関税がアメリカの中小企業に打撃を与えると主張している。
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