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EU 不合格品の八割が中国製 輸入規制報告

2025/08/30
更新: 2025/08/30

欧州連合(EU)は8月29日、2024年の「EU市場参入製品規制管理報告書」を公表した。同報告書によると、2024年にEU税関が受け入れを拒否した製品のうち、82%が中国からの輸入品だった。中国からの不合格品は年々増加しており、2024年は前年の2.3倍、2022年比で2.8倍と大きく伸びた。

報告書によると、2022~24年の3年連続で中国はEUが最も多く受け入れを拒否した製品の供給国となっている。2022年は1万7239件、2023年は2万1004件(前年比約22%増)、2024年は4万8139件と急増し、前年の2.3倍、2022年比で2.8倍の増加となった。特に2024年は、EU全体で拒否された商品のうち中国製品が占める割合が82%に達し、前年の63%、2022年の66%から大幅に上昇した。

アメリカは中国に次ぐ供給国だが、2024年のアメリカ製品の拒否件数は3247件で前年から38%減少した。イギリスも2120件(前年比16%減)と減少傾向にある。中国からの拒否件数はアメリカの約15倍、イギリスの約23倍に上った。

不合格品は医療用品が最多

このほか、トルコ、香港、インド、韓国なども注目すべき供給国として挙げられている。特にインドと韓国は、直近2年で拒否件数が上位5か国に入った一方、トルコと香港は減少傾向がみられる。

拒否された製品で最も多かったのは医療用品、家電、電子製品。なかでも医療用品は2022年に比べて2024年は4.6倍に増え、EU域内の健康リスクへの懸念も高まっている。

EU委員会税関局のマティアス・ペッツケ局長は「高い公共利益保護基準を満たす製品のみがEU市場に流通できる」と強調する。EUは健康・安全や消費者保護、環境保護などを重視しているが、実際に輸入品の検査が行われる割合は非常に低く、報告書によれば全体のわずか0.0082%に過ぎない。100万件につき検査されるのは82件のみだ。

また、加盟国ごとの検査体制にも大きなばらつきがあり、最も厳しい国では100万件につき175件が拒否される一方、最も緩い国では1件未満となった。仮に全加盟国が緩い基準の場合、2024年のEU全体の拒否件数は3184件、1590件、445件にとどまる計算だが、実際には6万4322件に達している。

EUは域外からの輸入品には共通関税を課しているが、加盟国間では関税や手続きが簡素化されており、自由な流通が保障されている。このため、どこかの加盟国で検査が甘いと、問題のある製品がEU全域へ広がるリスクもある。

危険商品警報、中国製が最も多い

EU委員会は先に、非食品の商品リスクを報告する「Safety Gate」年次報告も公表した。2024年には4137件の危険商品警報が通報され、これは2003年の同システム開始以来最多。危険商品のうち中国製が約40%を占めた。化粧品が最も多く、健康リスク通報の36%を占めている。このほかおもちゃ(15%)、電気製品(10%)、自動車(9%)、化学製品(6%)が続いた。

危険な化学物質も問題視されている。特に化粧品では、通報商品の97%にEUで禁止されている合成香料「BMHCA(リスメラール、リリアール)」が含まれていた。BMHCAは生殖機能への悪影響や皮膚刺激があり、EUでは使用禁止となっている。

李思齊