KDDIと沖縄セルラー電話は8月28日、米スペースXと連携して提供を予定している低軌道衛星通信サービス「au Starlink Direct」について、当初の計画を拡充し、一部の端末とアプリでデータ通信に対応させると発表した。
これまではSMS(ショートメッセージサービス)の送受信に限られていたが、今回の発表により、LINEや+Messageといった日常的なメッセージアプリの利用が可能になる。
「au Starlink Direct」は、山間部や離島など電波が届かない地域や災害時のインフラ断絶に備え、スマートフォンから衛星へ直接アクセスする仕組み。従来は安否確認や緊急連絡といった最低限の用途にとどまっていた。
新たにデータ通信に対応することで、例えば災害発生時には家族のグループチャットにメッセージやスタンプを送信し、既読確認も可能となる。山間部での利用では、天気予報アプリで最新情報を取得し、危険を察知して避難判断につなげることができる。
また、+Messageを使えば電話番号ベースでスタンプや絵文字を送ることができ、普段に近い形でのコミュニケーションが実現する。さらに、一部の地図アプリが低容量データで機能する可能性もあり、位置確認や移動時の安全確保に役立つとみられる。
サービス開始直後から高速通信が可能になるわけではなく、利用できるのは低容量データに限られる。また、対応端末やアプリも一部にとどまる見込みだ。
商用提供は2026年以降の予定。KDDIは「圏外をなくす」という構想のもと、同サービスを緊急用にとどめず、日常に近いコミュニケーションを可能にするインフラとして位置づける。今回の発表は、日本国内の通信環境に新たな展開をもたらすものとなりそうだ。
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