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日本の不動産が犯罪の温床に 松原議員が資金洗浄対策の強化を要求

2025/08/05
更新: 2025/08/05

日本の不動産が、外国資本による犯罪収益の「資金洗浄の場」となっているのではないか。そんな強い懸念から、衆議院の松原仁議員(無所属)が政府に対し、対策の抜本的な強化を求める質問書を提出したことが分かった。この文書は、日本の不動産市場が直面するリスクに警鐘を鳴らすものだ。

松原仁議員は8月1日に衆議院に質問第二一号「外国資本による不動産市場におけるマネー・ローンダリングの防止に関する質問主意書」を内閣へ提出した。

質問主意書では、松原議員は、詐欺事件で得られた犯罪収益が日本の不動産購入を通じてマネー・ローンダリング(資金洗浄)されていたとする最近の報道に言及し、こうした犯罪収益が日本の不動産市場に流れ込むことで、不動産価格が不当に吊り上げられ、一般の人々が家を買いにくくなるという深刻な影響をもたらしかねないと指摘している。

問題の根底には、不動産の本当の持ち主が誰なのかを把握することの難しさがある。松原議員は東京都心に立つビルを挙げ、このビルは、国際的な制裁対象となっているロシアの有力者が実質的に所有していると報じられているが、登記上の所有者はタックスヘイブン(租税回避地)として知られる英領バージン諸島の法人となっていたという事例を上げた。この事例は松原議員が過去の国会質疑で取り上げたものだった。

仮に海外でこの法人の株が売買され、ビルの実質的な所有者が変わったとしても、日本の当局がその事実を掴むのは極めて難しい。質問主意書は、こうした仕組みが悪用され、日本の不動産が巨額の資金洗浄の舞台となる危険性を訴えている。

この状況に対し、松原議員は新たな対策を提言した。それは、不動産の売買を仲介する宅地建物取引業者(以下、不動産業者)に対し、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」で定められた義務の徹底を求めるものだ。具体的には、不動産業者が取引相手や資金について「何かおかしい」と感じた際に国へ報告する「疑わしい取引の届出」を、より厳格に行うよう政府が指導すべきだと主張している。

この提案に基づき、質問主意書は政府に対し、不動産業者からの「疑わしい取引」の届出が現在どのくらいあるのか、政府は現状の対策で十分だと考えているのか、といった点について見解をただした。

また、資金洗浄対策の国際的な基準を定める「FATF(金融活動作業部会)」が、日本の不動産業者のリスク認識についてどう評価しているかも問うた。さらに、不動産業界には小規模な事業者が多い実情を踏まえ、政府が具体的な対応マニュアルを作成し、強力な指導を行う必要性も指摘した。

この質問主意書に対し、政府は今後、公式な見解を記した答弁書で回答することになる。日本の不動産市場の健全性をいかに守るのか、今後の政府の対応が注目される。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます