大阪 堺市西区の「ENEOS(エネオス)堺製油所」で17日、硫化水素の可能性があるガスが漏洩し、3人が搬送される事故が発生した。
17日午前10時頃、「ガスを吸った従業員2人が倒れている。意識がなく、硫化水素の可能性がある」と119番通報があり、消防車など17台が出動。現場で男性3人が救助された。
製油所では、原油の脱硫工程で硫化水素が副産物として発生する。これを回収・処理し、硫酸の原料となる固体硫黄に変換するが、漏洩時は高濃度の有毒ガスとなり危険だ。
硫化水素を吸うと、意識喪失・呼吸麻痺・最悪の場合は死に至ることがあり、高濃度では数回吸っただけで即死する恐れもある。
3人は病院に搬送されたが、警察によると44歳の男性の死亡が確認されたということだ。また、他の男性2人は意識障害を訴えている。
堺市消防局によると、配管からガスが漏れたとみられ、通報の約30分後にガス漏れが止まったのを確認したという。
産経新聞によると、同製油所では、16日午後にも配管から液化石油ガスが漏れたと消防に通報があったが、ケガ人はなく、ENEOSは「今回の事故とは関連がない」と説明している。
日本では、昭和30年代~50年代(1955年~1980年代)に、都市ガス機器の普及と設備の未整備によって、ガス漏れや一酸化炭素中毒事故が多発した。主な原因は、旧型のガス栓やゴム管の劣化、排気設備の不備、不完全燃焼による一酸化炭素中毒、ガス爆発などだ。
一方、近年は工場や産業施設での高圧ガスや有毒ガス(硫化水素)漏れによる事故が増加傾向にある。例えば、2019年の三井化学岩国大竹工場での硫化水素漏洩事故など、製油所や化学プラントでの事例が報告されている。
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