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米商務長官 10%の関税 当面維持 トランプ氏の貿易政策に自信示す

2025/05/12
更新: 2025/05/12

ラトニック米商務長官は5月11日、全世界を対象とした10%の基礎関税について「今後もしばらく維持される」との見通しを示した。また、関税がインフレを招くとの批判に対しては、企業や外国が関税の負担をしており、アメリカの消費者が直接的な影響を受けているわけではないと反論した。

ラトニック氏は同日、CNNの番組に出演し「予見可能な将来においては、10%の基礎関税を維持する予定だ」と述べた。

「関税は10%を下回ることはない。今後もこの水準を下回ることは考えていない」と強調した。

トランプ米大統領は4月2日「リベレーション・デー(解放日)関税」と呼ばれる新たな貿易方針を発表。長年にわたりアメリカが直面してきたとする「不公平な貿易慣行」の是正を目指し、アメリカと全世界の貿易関係の見直しに着手した。これにより、多くの国に対し10%以上の関税が課されることとなった。中国に対しては報復措置に対抗する形で、関税が145%に引き上げられた。5月12日には一時的措置として、90日間に限り30%に引き下げると発表している。

その後、トランプ氏は中国を除く国々に対し、新たな関税の適用を90日間停止すると発表したが、10%の基礎関税については変更されていない。

発表当初、株式市場は一時的に下落したが、そのあとは持ち直している。

トランプ政権の関税政策に対しては、主要メディアや一部の経済専門家、民主党関係者らから「インフレを招く」「サプライチェーンを混乱させる」などの批判が上がっている。これに対し、ラトニック氏は「事実と異なる」と反論し「関税のコストは企業や外国政府が主に負担しており、アメリカの消費者がその分を支払っているというのは根拠のない主張だ」と語った。

「企業や外国政府が関税の大部分を負担している。トランプ1期目政権には25%の関税を設定したが、当時もアメリカの消費者から大きな不満の声は聞かれなかった」と述べた。

また、国内生産された商品は新たな関税の対象外であり、企業が自社製品を競争力ある価格で提供する努力をすれば、消費者に大きな影響は及ばないとの見解を示した。

出演中、スイスで行われた米中貿易交渉についても質問があったが、ラトニック氏は「交渉は非常に良い感じだ」と述べるにとどまり、会談の詳細については明らかにしなかった。

「貿易チームに任せている。彼らは今まさに現地で交渉の場にいるので、あとは彼らに任せるつもりだ。昨日、彼らの手応えは良かったようで、それがとても励みになった」と語った。

ラトニック氏は、今後も全ての国に対して10%の基礎関税を維持する方針だとし、先週発表された米英間の新たな貿易協定にも、この関税率が適用されると明らかにした。

5月8日にトランプ氏が発表した協定では、イギリスがアメリカに輸出する自動車10万台に適用する関税を25%から10%に引き下げることで合意。

トランプ氏は「これは両国にとって有益な協定であり、特にイギリスにとって大きな前進だ。やや閉鎖的だった同国の市場が開かれつつあり、我々はその姿勢を歓迎する」と述べた。

ラトニック氏はまた、同日に出演したFOXニュースの番組でも、米政府が交渉の詳細を公表する予定はないとしながらも、消費者にはトランプ大統領の貿易戦略に引き続き信頼を持ってほしいと呼びかけた。

「非常に前向きかつ楽観的に捉えるべきだと考えている。私自身もそうだ。大統領もSNSなどで同様の姿勢を示している」と語った。

高杉