昨年7月、台湾の蔡英文前総統が安倍晋三元首相の三回忌に参列するため来日を希望したが、日本政府はこれを認めなかった。この決定は、中国の反発を懸念したためであるということを共同通信などが報じた。
岸田政権は当時、中国との関係改善に注力していた。特に、中国による日本産水産物の輸入停止措置解除を目指しており、蔡氏の来日が、その努力に悪影響を及ぼす可能性があると判断したという。複数の日台関係筋によれば、政府高官は「日中関係は重要な時期にある」として、蔡氏の来日取りやめを強く要請したという。
中国共産党政権は、台湾を自国領土とみなし、「一つの中国」の原則に基づき台湾総統経験者の来日を厳しく批判してきた。過去には、2001年に、台湾の李登輝元総統が病気治療で来日した際、中共側が強い反発を示した例もある。
蔡英文氏と安倍晋三氏の関係
安倍元首相は生前、台湾との関係強化に積極的であり、「台湾有事は日本有事」と発言し、中国による軍事的圧力への警戒を示していた。また、総統在任中の蔡氏とオンライン会談を行うなど、信頼関係を築いていた。
蔡氏の来日は、安倍氏が顧問を務めていた超党派議員連盟「日華議員懇談会」によって調整されていた。しかし、日本政府からの要請を受け、訪問計画は延期された。
批判と今後の課題
この決定について、日本国内外から「過剰な対中配慮ではないか」という批判が出る可能性が指摘されている。特に、親日的な台湾との関係維持が重要視される中で、この対応が日台関係に与える影響が懸念される。
今回の問題は、日本政府が外交政策において中国への配慮を優先した結果として浮き彫りになった。
しかし、現在、日本の同盟国アメリカは、バイデン政権からトランプ新政権に移行し、対中強硬路線はさらに強化されている。日本の外交姿勢は、いつまで台湾との友好関係を維持しつつ、中国共産党政権とのバランスを取ることを続けるのか? 今後の動向が注目される。
ルビオ米国務長官は中共に警告
3月19日、アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は、ヒュー・ヒューイット・ショーのインタビューでアメリカと中国の競争、米台関係、そしてパナマ運河の主権などの議題について語り、
「これが我々にとって最大の課題だ。我々は、これらの国々と関係を築く必要があるが、21世紀の世界情勢は、米中関係のあり方次第だと考えている。もしアメリカが中国に好き勝手をさせて、国際ルールを守らせなければ、それはアメリカ自身の責任となる」
と語った。
中国共産党が台湾を武力で統一しようとする企てについて、ルビオ氏は次のように断言した。
「この問題は非常にデリケートだが、我々の政策は一貫している。武力や脅迫によって現状を変更することは許されない」
ルビオ氏はさらに、
「中国が台湾を攻撃するなら、その代償が、得られる利益よりも大きくなるようにすることで、行動を遅らせたり阻止したりできると思う」
と述べた。
そして、
「中国共産党は、台湾を占領することで、党首としての成果を示そうとしているようだが、もし強硬な行動に出るなら、米国は高い代償を払わせるつもりだ」
と警告した。
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