アメリカ政府効率化省(DOGE)は2月17日、財務省が行った総額約4.7兆ドルの支払いについて、口座識別コードの欠落により追跡がほぼ不可能であると明かした。
DOGEによると、財務省は「財務省アクセス記号(TAS)」と呼ばれる識別コードを付与しており、これは各支払いがどの口座に紐づいているかを記録するための「標準的な財務プロセス」だという。しかし、同局によると、TASコードの入力は「任意」としており、その結果、数兆ドルに及ぶ支払いにコードが付与されていなかった。
DOGEは、X上で「連邦政府では約4.7兆ドルの支払いにおいてTASコードは任意の項目とし、多くの場合、空白のまま処理していたため、追跡はほぼ不可能だった」と投稿した。
さらに、「2月17日以降、この項目は必須となり、資金の流れに対する透明性が向上した。財務省の素晴らしい取り組みに感謝する」と述べた。
財務サービス局によると、TASコードは、財務省が「個別の予算、収入、その他の基金口座」に対して付与する識別コードであり、通常、財務省および行政管理予算局への報告のために、すべての連邦政府の金融取引で使用されるものである。
コスト削減の提案—紙の小切手廃止で7.5億ドルの節約見込み
DOGEは2月17日、財務省での紙の小切手の廃止を提案した。納税者の負担軽減を図るためだという。
トランプ大統領が設置した諮問委員会によると、財務省は2024会計年度に1億1600万枚の紙の小切手を処理し、それらをロックボックスに保管した。委員会の試算では、このロックボックスの維持費は1枚あたり2.4ドルに上るという。
さらに、DOGEは2023会計年度において、期限切れ小切手の返送により約250億ドルの税金還付が遅延または紛失したことを指摘した。
DOGEはX上で、「紙の小切手を廃止することは、年間少なくとも7億5千万ドルの節約が可能だ」と投稿した。
DOGEによる政府改革の動きと法的論争
トランプ氏は、行政管理予算局傘下組織の米国デジタルサービスを廃止し、代わりにDOGEを設置。DOGEには連邦政府機関の縮小やコスト削減を調査する権限を与えた。ただし、DOGEは調査および助言を行う機関であり、実際の政策決定はトランプ氏の承認を要する。
DOGEは連邦政府のシステムへのアクセス権を付与されている。これに対し、一部の民主党議員や労働組合から「違憲」との批判が上がっている。
DOGEは2月17日、総額550億ドルの節約が可能だと報告した。これは「詐欺検出・排除、契約およびリースのキャンセルや再交渉、資産売却、助成金取り消し、人員削減、プログラム変更、規制削減」 などの手段の組み合わせによって実現する。
また、DOGEの公式サイトでは、「これらのデータを分かりやすく、完全な透明性をもって公表し、関連する規則や規制を遵守しながら公開していく」と述べている。
DOGEは2月17日時点で、「政府契約の削減額ランキング」でアメリカ国際開発庁(USAID)をトップに挙げ、次いで教育省、人事管理局が続く と報告した。また、報告サイトは週2回更新する予定だとしている。
DOGEの権限に対する法的挑戦
2月13日、14州の司法長官がトランプ政権によるDOGEへの権限委譲に異議を唱え、訴訟を起こした。
この訴訟を主導するニューメキシコ州のラウル・トーレス司法長官は、「トランプ政権がマスク氏に与えた広範な権限は、上院の承認を経ておらず違憲だ」と主張した。
司法長官らは裁判所に対し、DOGEおよびマスク氏が公的資金の配分変更や政府契約の取り消しを行うこと、機密情報にアクセスすることなどを禁止する仮差し止め命令を求めた。
ホワイトハウス 「最終決定権はトランプ氏に」
2月上旬、トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、DOGEの役割について次のように述べた。
「マスク氏は、我々の承認なしに何かを行うことはできない。我々が適切と判断した場合は承認し、不適切と判断した場合は承認しない」
さらに、「彼は(ホワイトハウスに)報告している」と付け加えた。
マスク氏は2月11日、ホワイトハウスで記者団に対し、「2024年の選挙で共和党が政府の主要機関を掌握したことは、DOGEの改革推進に対する国民の意志の表れだ」と主張した。
「国民は大規模な政府改革を求めて投票した。その結果が今、形になろうとしている。これこそが民主主義だ」
ホワイトハウスは以前、マスク氏をトランプ政権の「特別政府職員」として任命しているが、その役職は一時的なものだと説明している。
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