【分析】韓国の政争の政治的影響 日米間の安全保障にも影響か 

2024/12/07
更新: 2024/12/07

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、3日夜に突然戒厳令の発令を発表したが、6時間後に国会で「戒厳令解除要求決議」が可決したため撤回した。その翌日、韓国の野党は尹錫悦大統領が戒厳令を発令したことを理由に弾劾手続きの開始を決定した。

戒厳令発令と撤回の経緯

尹錫悦大統領は3日の夜、テレビ放送を通じて政党活動の禁止や報道機関の活動を制限する「戒厳令」を発令した。野党が国会の多数派として弾劾や予算案阻止を繰り返し、国政を混乱させていることを理由に緊急戒厳を宣言したのだ。尹大統領は「議会内の共産勢力」や「反国家勢力」、さらに北朝鮮からの脅威に対抗するための必要な措置だと説明している。

戒厳令発令からわずか2時間半後、反対派の議員は190票を投じて「戒厳令解除要求決議」を可決し、尹錫悦大統領が発令した戒厳令を解除した。最終的に死傷者を伴うことなく、部隊は撤収し、尹大統領は翌4日午前4時30分に戒厳令の撤回を正式に発表した。

しかし、その後、韓国最大野党である「共に民主党」は尹大統領に即刻辞任を要求し、尹大統領や李龍顕国防部長官たちを「内乱罪」で告発すると発表した。

支持率低下と政局の混乱

世論調査機関「ギャラップ・コリア」が6日に発表した最新の調査によれば、尹錫悦大統領の支持率はわずか13%にとどまった。与党・国民の力(PPP)は27%、最大野党・共に民主党は37%の支持を集めている。

韓国政局の混乱が東アジア地政学に与える影響について、台湾国防大学政治戦学院の元院長、余宗基将軍は、大紀元の取材に対し「もし弾劾が成立すれば、アメリカが第一列島線で進めている軍事的安全保障体制が根本的に揺らぐ」と述べた。また、親中的な李在明氏が政権を取れば、日米韓の軍事同盟に深刻な打撃を与える可能性があると指摘した。

韓国と台湾の類似性と中共の影響

台湾の政治情勢を引き合いに出し、韓国が中国共産党(中共)の浸透を防ぐために何を学べるかについての議論も展開している。評論家の唐靖遠氏は、韓国は台湾のように中共の世論戦や情報戦を識別し、防ぐ能力を高める必要があると指摘した。特に、台湾社会が中共の干渉に対して高い警戒心を持ち、「公民による民主主義の防衛」として行動を起こした事例を挙げた。

トランプ再登板と親中派の影響力低下

さらに、ドナルド・トランプ氏が来年1月にアメリカ大統領として再登板する場合、韓国の親中派の影響力が大きく低下するとの見方もある。トランプ氏が再び直接北朝鮮と対話し、中国を迂回する戦略を取ると予想しており、これにより中国の朝鮮半島における影響力が減少すると考えられている。

韓国が現在直面している中共の浸透と影響力拡大に対抗するには、国民の教育や警戒心を高める必要があるとの指摘もでている。

飛鎮