米国「法輪功保護法案」全文 邦訳

2024/06/29
更新: 2024/07/17

25日、米下院で「法輪功保護法案」(Falun Gong Protection Act)が可決した。良心の囚人らから強制的に臓器を摘出する、中国共産党による組織犯罪「臓器狩り」に関与したものに制裁を科すことを定めた、米国で初となる法案となる。制裁には資産凍結、米国入国禁止、経済的制裁、刑事罰などがある。法案の全文は次のとおり。

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118回連邦議会
第2会期

H.R. 4132

法律

中華人民共和国内で強制的な臓器収奪に関する制裁を科すことを定め、その他の目的のための法律

合衆国議会上院及び下院は、ここに次のように定める。

第1条 略称

この法律は、「法輪功保護法」として引用することができる。

第2条 政策声明

米国合衆国の政策は以下の通り。

 (1) 中国共産党が政権にある間は、臓器移植分野における中華人民共和国との協力を避けること。

 (2) 関連する制裁権限を含む適切な措置を講じ、中国共産党に対し、国家が支援する臓器収奪キャンペーンを終わらせるよう強制すること。

 (3) 同盟国、パートナー国、多国間機関と協力し、中国の法輪功への迫害に注目し、対象を絞った制裁とビザ制限に関して国際社会と緊密に連携すること。

第3条 中華人民共和国内の強制的な臓器収奪に関する制裁の実施

 (a) 制裁の実施 大統領は、(b)項に基づいて提出された最新のリストに含まれる外国人各人に対し、(c)項に記載された制裁を科さなければならない。

 (b) 対象者のリスト

  (1) 総則 この法律の制定日から180日以内に、大統領は、中華人民共和国内で臓器の非自発的な収奪に故意に直接関与し、または促進したと大統領が判断した外国人のリストを、適切な議会の委員会に提出しなければならない。

  (2) リストの更新 大統領は、適切な議会の委員会に対し、(1)号に基づくリストの更新版を提出しなければならない。

   (A) 新しい情報が利用可能になったとき。

   (B) この法律の制定日から1年以内に。

   (C) その後、(h)項に基づく終了日まで毎年。

  (3) 形式 (1)号で要求されるリストは非機密形式で提出されなければならないが、機密の付属書を含むことができる。

 (c) 制裁の内容 本項で述べる制裁は以下の通り

  (1) 資産の凍結 大統領は、「国際緊急経済権限法」(合衆国法典第50編第1701条以下)によって大統領に付与されたすべての権限を行使しなければならない(ただし、同法第202条(合衆国法典第50編第1701条)の要件は適用されない)。その者の資産及び資産に関する権益が合衆国内にあるか、合衆国内に入るか、または合衆国の者の所有もしくは管理下にある場合、その者の資産及び資産に関する権益のすべての取引を凍結し、禁止するために必要な範囲において。

  (2) 特定の個人の入国不適格

   (A) ビザ、入国、又は仮釈放の不適格 (b)項に基づいて提出された最新のリストに含まれる外国人は、

    (i) 合衆国への入国が認められない。

    (ii) 合衆国に入国するためのビザまたはその他の文書を受け取る資格がない。

    (iii) その他、「移民・国籍法」(合衆国法典第8編第1101条以下)に基づくいかなる利益を受けるためにも、合衆国に入国を許可されたり、仮釈放を受けたりする資格がない。

   (B) 現在のビザの失効 (A)号に記載された外国人には、以下も適用される。

    (i) ビザまたはその他の入国文書の発行時期にかかわらず、そのビザまたはその他の入国文書を失効させること。

    (ii) (i)項に基づく失効は直ちに効力を生じ、外国人が所持する他の有効なビザまたは入国文書を自動的に無効にする。

  (3) 例外 (2)号に基づく制裁は、合衆国が1947年6月26日にレイク・サクセスで署名され、1947年11月21日に国際連合と合衆国との間で発効した「国際連合本部に関する協定」、またはその他の合衆国の適用可能な国際義務を遵守するために、外国人を合衆国に入国させたり、仮釈放したりすることが必要な場合には、適用されないものとする。

 (d) 罰則 「国際緊急経済権限法」第206条(b)項及び(c)項(合衆国法典第50編第1705条)に定める罰則は、(a)項を実施するために公布された規則に違反し、違反を企て、共謀し、または違反の原因となった者に対し、同法第206条(a)項に記載された違法行為を行った者に対して適用されるのと同程度に適用される。

 (e) 国家安全保障を遵守するための例外 以下の活動は、この条の制裁から適用除外される。

  (1) 「1947年国家安全保障法」第5章(合衆国憲法第50編第3091条以下)の報告義務の対象となる活動。

  (2) 合衆国の認可された情報活動または法執行活動。

 (f) 人道支援の提供に関する例外 この条に基づく制裁は、以下のための取引または取引の促進に関しては科してはならない。

  (1) 農産物、食料、または医薬品の販売。

  (2) 重要な人道支援の提供。

  (3) 人道支援または人道目的に関連する金融取引。

  (4) 人道支援または人道目的に関連する活動を実施するために必要な物品またはサービスの輸送。

 (g) 適用除外の権限

  (1) 適用除外 大統領は、個別のケースごとに、そのような適用除外が合衆国の重要な国家安全保障上の利益になると判断した場合、この条に基づく制裁の実施を適用除外とすることができる。

  (2) 報告 大統領は、(b)項に基づくリストを提出した日から120日以内に、また(h)項に基づく終了日までの間、120日ごとに、その報告の対象期間中に(1)号に基づく適用除外権限をどの程度行使したかについての報告を、適切な議会の委員会に提出しなければならない。

 (h) 失効 この条に基づいて制裁を科す権限は、この法律の制定日から5年後の日に終了する。

第4条 報告

 (a) 総則 この法律の制定日から1年以内に、国務長官は、保健福祉長官及び国立衛生研究所長官と協議の上、中華人民共和国の臓器移植に関する政策及び慣行について、適切な議会の委員会に報告書を提出しなければならない。

 (b) 含まれるべき事項 (a)項で要求される報告書には、以下の事項を含めなければならない。

  (1) 中華人民共和国における臓器移植に関する法律上および事実上の政策の要約(囚人<法輪功を含む>及びその他の囚人に関するものを含む)。

  (2) (A)中華人民共和国で年間に発生することが知られている、または推定される臓器移植の数。

   (B) 中華人民共和国で知られている、または推定される自発的な臓器提供者の数。

   (C) 中華人民共和国における移植用臓器の供給源の評価。

   (D) 中国の医療制度内で臓器移植用の臓器を調達するのにかかる時間(日数)の評価、及び中華人民共和国で知られている、または推定される臓器提供者の数に基づいて、そのようなタイムテーブルが可能かどうかの評価。

  (3) 過去10年間に、中華人民共和国における臓器移植の研究、または中国と米国の事業体間の共同研究を支援した米国の助成金のリスト。

  (4) 中華人民共和国内の法輪功修練者への迫害が、「残虐行為」に該当するかどうかの判断(「残虐行為」とは、2018年のエリ・ウィーゼル・ジェノサイド及び残虐行為防止法(法律第115-441号、合衆国法典第22編第2656条の注)第6条で定義されている用語)。

 (c) 形式 (a)項で要求される報告書は、非機密の形式で提出されなければならないが、機密の付属書を含むことができる。

第5条 物品の輸入に関する例外

 (a) 総則 この法律に基づいて制裁を科すことを認められた権限及び要件には、物品の輸入に対して制裁を科す権限又は要件を含まないものとする

 (b) 物品の定義 この条において、「物品」とは、検査・試験機器を含み、技術データを除く、あらゆる品目、天然又は人工の物質、材料、供給品又は製造品を意味する

第6条 適切な議会の委員会の定義

この法律において、「適切な議会の委員会」とは、以下を意味する。

 (1) 下院外交委員会

 (2) 上院外交関係委員会

2024年6月25日、下院通過

下院事務総長

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。