カナダ連邦政府が提出した「外国干渉対策法」(法案 C-70)が6月19日に上院で可決され、すべての立法手続きを完了した。この法案により、カナダは外国代理人登記制度を設立することになる。
カナダ公共安全大臣のドミニク・ルブラン氏によって5月6日に提案されたこの法案は、独立性をもつ専門家が監督する登記制度を設け、カナダで他国や国営企業を代表する個人や団体が登録することを義務付け、その透明性を強化することを目的としている。
新法は夏の休会前に通過し、2025年10月の連邦選挙前に関連防衛策が整うことを確保することができた。
C-70法案には、「外国影響力透明登録法案」(外国代理人登録法案)に加え、新たな刑事条項が導入された。これにより、秘密や欺瞞的な行為、政治や政府の過程に影響を与える行為が犯罪とされる。また、カナダ安全情報局(CSIS)に新たな権限が付与され、機密情報の共有がより広範に可能となる。
違反者には、最高500万ドル(約7億9884万円)の罰金または最高5年の懲役が科される。
中共の干渉
カナダの香港人権団体や人権組織は、この法案の可決が中国共産党(中共)の長期にわたる影響を阻止し、カナダの選挙干渉を抑止する助けになると評価している。
最近、外国干渉を調査するカナダの特別委員会の報告によると、中共がカナダの連邦選挙に干渉しようとした証拠があるとされる。報告書は、中共、ロシア、インド、パキスタン、イランがカナダに対する主要な脅威であり、中共が最も複雑で危険な手段を用いてカナダの選挙に影響を与えていると指摘している。
上院での議論
6月13日に下院を通過したC-70法案は、同日中に上院に送られ第一読会を通過した、一部の上院議員は最後の瞬間に修正案を提出しようとした。
上院議員の胡元豹氏は、「関連する(in association with)」という言葉を法案から削除する動議を提出した。この言葉があいまいであるためである。
「関連する」という表現は、外国代理人の登録の定義にも、新たな外国干渉に関する犯罪行為にも使われている。
胡元豹氏は、「関連する」という言葉は犯罪グループの個人を起訴する際には有用かもしれないが、「外国影響力透明度と問責法案」の目的には役立たないと主張した。
一方、上院政府指導者のマーク・ゴールド氏は、「これらの規定は悪意のある活動を行う人々に適用される」とし、「外国団体との関係自体を犯罪とするものではなく、脅迫、暴力、恐喝、欺瞞を使う人々を対象としている」と述べた。
最終的に、胡元豹氏の動議は54対17で否決され、法案は予定通り可決された。
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