中国共産党(中共)首相の李強氏が6月15日から18日にかけてオーストラリアを訪問し、両国の関係改善を図ると共に多くの要人と会談を行った。しかし、これに対し元中共スパイのエリック氏は抗議の声を上げ、中共との取引を警戒するよう呼びかけた。
西方と中共の貿易は「血を送る行為」
李強氏の訪問は、中共首相として7年ぶりのものとなった。6月17日、李強氏はキャンベラの議会でオーストラリアのアルバニージ首相と第九回中豪首相年次会談を行い、さらに多くの要人と会談した。この訪問は、中豪関係の改善を急ぐものとされているが、その成果についてはまだ不透明である。
中豪関係は2020年に悪化した。中国の武漢で発生した新型コロナウイルスのパンデミックに対する中共の隠蔽が原因であり、オーストラリアがアメリカと共にウイルスの起源を調査することを宣言したことで、中共の経済報復を招いた。2022年以降、中共は「デリスク(リスク回避)」の一環として報復措置を解除し、正常な貿易関係の回復を目指している。
6月17日、李強氏はオーストラリアを一方的にビザ免除国に加え、エネルギーと鉱業分野での協力を拡大することを発表した。また、前日には新たに2頭のジャイアントパンダを貸与することを約束し、「パンダ外交」を再開した。
元中共スパイの警告
抗議集会に参加したエリック氏は、「李強氏は彼のボスである習近平を代表してオーストラリアを取り込もうとしている」と述べた。「オーストラリア政府は二国間関係を安定させ、中共は制裁を解除し、貿易を回復させたいと考えているのは理解できるが、支持すべきではない」
「なぜなら、西方と中共のすべての貿易は、ある程度、中共に血を送ることと同じであり、同時にロシアや他の全ての専制的な国家にも血を送っているからである。これにより彼らの財政が強化され、政権が強固になり、世界中の人権災害が悪化し、戦争のリスクが大幅に高まる」
「西方諸国との貿易がもたらす危害は、対話の場で人権を口先だけで語ることで相殺されるものではない」とエリック氏は続けた。「各国政府と国民に対して中共に対する警戒を呼びかけ、可能な限り友好的な関係を減らし、中共への経済的な輸血を減少させるべきだ。これが中共の統治を弱体化させるために非常に重要である」
商界と華人コミュニティへの浸透
6月18日、李強氏は西オーストラリア州のパースでビジネスリーダーとの円卓会議を開催し、リチウム鉱山を視察し、オーストラリア首相と共に中国系コミュニティのイベントに参加した。
エリック氏は15年間、中共の国家安全部のスパイとして海外の中国人を監視していたが、2023年にオーストラリアに亡命した。李強氏が商界や中国系コミュニティを取り込もうとすることについて、「中共との関係が深まるほど、中共の浸透が深刻になることを認識し、警戒しなければならない」と述べた。
「それは慢性的な自殺行為であり、自由な空間をむしばみ、価値観や生活様式を崩壊させる」とエリック氏は警告した。
「中国の秘密システムを知っている者として、この浸透が海外の中国人コミュニティの環境を毒し、自由に発言するすべての中国人に脅威をもたらしていると断言できる。私たちはこのような危害を助長する行為を奨励すべきではない」
「李強氏とその党が本当に善意を持っているならば、なぜオーストラリアにいるターゲットを捕まえようとするのか? なぜ多大な労力をかけて浸透や干渉といった特務活動を展開するのか? これらの脅威に対して、オーストラリアおよび他の国々は常に警戒を怠ってはならない」
エリック氏は以前のインタビューで、「多くの国、特にオーストラリアでは、多くの中国人団体や商工会が中共に利用されている」と述べた。
「中には親中共的な人々も多く、中共のために秘密裏に活動している人もいる。したがって、オーストラリアの商工会にも中共のために活動する重要な人物がいる可能性を排除できない」
抗議者が歓迎者を上回る
李強氏の訪問先では抗議者が後を追いかけた。6月17日、複数のオーストラリアの団体が議会周辺で抗議を行い、オーストラリア政府に対して人権を経済利益の上に置くよう求めた。
初めて中共高官の訪問に対する抗議に参加したエリック氏は、「現場には多くの人々が集まり、非常に熱気に満ちていた」と大紀元に語った。
「反共陣営も非常に強力で、特に多くのチベット人が参加し、長時間にわたってスローガンを叫び続けていたのは非常に印象的だった」
中共側もオーストラリア在住の中国人を動員して李強氏を迎えるために議会に人を集めたが、抗議者の数の方が明らかに多かった。両陣営は口論を繰り広げ、歓迎者と香港団体との間で旗を奪い合う衝突が発生した。
エリック氏は、「親中共派は一般的にフーリガンのような手段を好み、挑発的で暴力的な行動を取る傾向がある」と指摘した。「これは彼らのボスである共産党の風格そのものである」
彼は、「中共側が集めた人々の中には不満を抱いている者もいる」と述べ、「彼らは大使館から金をもらえると聞いていたが、実際には金をもらえず、不満を漏らしていた」と語った。
「私と話をした数人は明らかに金をもらえなかったため、大使館を非難していた。小さなボスが金をもらったかどうかは不明だ」
抗議に参加したメルボルンの民主運動リーダーである高健氏は、アメリカの声に対して、「私たちは自費で活動に参加し、オーストラリア政府と西洋の民主政府に対して、全世界の中国人が親中共でないことを知ってもらいたい」と述べた。
エリック氏も、「私たちは自由な世界で声を上げ、中共というファシスト犯罪組織に警戒し、取引を避けることを呼びかける」と強調した。
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