2024年6月10日に掲載した記事を再掲載
少子化対策として自治体が導入を進める結婚支援アプリについて、入札企業に中国と関係が深い企業が含まれていることが分かった。専門家からは、個人情報の取り扱いや安全保障の観点から、入札プロセスの見直しを求める意見が出ている。
「日本は全滅する」と米実業家イーロン・マスク氏からも指摘されるほど、日本の人口減少は深刻だ。厚生労働省によれば、2023年の合計特殊出生率は1.2と過去最低を記録した。7日、武見敬三厚生労働相は、「若者の人口が減る2030年代に入るまでの6年間がラストチャンス」と危機感をあらわにした。
特に東京都は、50歳以下の未婚率が全国で最も高く、男性の32%、女性の24%が独身のままだ。こうしたなか、カップルを後押しするため、都は2021年度から「TOKYOふたり結婚応援パスポート」事業を開始。婚約カップルや新婚の夫婦が、このパスポートを提示することで、協賛事業者のサービスを受けられる。利用者の携帯電話に専用アプリを入れて使用する。
なお、この事業は都が行うAIを活用した婚活支援「TOKYOふたりSTORY AIマッチングシステム」とは異なる。
「結婚応援パスポート」を契約したのは東京都を拠点とする法人だが、中国・北京および大連にも傘下企業を構えている。代表はいずれも同一人物で、公式説明によれば、東京から北京と大連の企業に対して、日本向けのソフトウェア開発を委託しているという。
公募入札に中国系企業
同社はこの結婚応援事業に2022年度と2023年度契約している。東京都は「企業の選定にあたっては、法令に基づき適切に実施している」と述べている。2024年度は別の日本企業が運営している。大紀元は都に対して、入札における外国企業との関係など判断基準について尋ねている。
この企業の入札参加は、結婚支援アプリだけにとどまらない。マイナンバーカードと公務員身分証明書のシステム一体化事業など、個人情報を取り扱う事業も委託している。このほか、国の医療機関行政情報システムの運用、出入国在留管理庁ホームページの情報受付ページの製作などにも入札し、契約している。
中国共産党は国家情報法を定め、全ての組織・国民に対し、国家情報活動の協力を義務付けている。このほかデータセキュリティ法や、個人情報保護法があり、国家安全保障に影響を与える可能性のあるデータの海外移転は当局のセキュリティ評価を受ける。
外国犯罪にあかるい元警視庁刑事の坂東忠信氏は、中国を背景にした企業によって「日本人の個人情報が中国当局に渡る可能性を否定できない」と指摘。また、こうした外事案件も「スパイ法の整備や警察の予算を十分確保できなければ、調査もままらならない」と懸念を示した。
共産党の党策と一致する企業 日本の事業に入札
日本にある中国の商会(商工会議所に相当)には、多数の中国系代表者が運営する企業が加盟している。これらは中国への利益貢献を活動の中心としており、共産党の対外経済政策と一致している。
入札記録によれば、こうした中国の商会に加盟する複数の企業が、防衛省や農林水産省、国税庁などからの事業を委託されている。防衛施設への入場や、大量の日本人の個人情報へのアクセスが許可されている。
こうした商会には「党のために働く」人物もいるという。最近、中国本土から脱出し、オーストラリアに亡命申請している中国公安部の元スパイ、エリック氏(仮名)は大紀元の取材に答えた。
「多くの国の、多くの華人コミュニティや商会は中国共産党に利用されている。かなりの親中派の人々もいて、中国共産党のために働き、時には秘密裏に活動する」こうした商会には事業家としての立場を用いて「党のために公にはしずらいことを行っている重要な人物がいる」可能性があるとした。
日本政府は近年、セキュリティクリアランス等、経済安全保障の強化を掲げているが、スパイ防止法は存在しない。日本の重要情報を扱うシステムに、外国企業が安易に関与することへの懸念は根強い。専門家は「公的事業の受託企業選定における安全保障の観点から、入札の審査を強化すべきだ」と指摘する。
(6月14日18時、一部を修正しました)
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