新型コロナウイルスのパンデミックが収束しつつある現在、世界各国は新たな課題に直面している。その1つが移民の大規模な流入である。アメリカやヨーロッパでは、移民問題が社会の分断を引き起こし、政治的な対立を深めている。これに対して、一般市民が立ち上がり、自国の生活水準と秩序を守るために移民政策の見直しを求め始めた。
世界中で移民の波が押し寄せている背景には、移民が、アメリカやヨーロッパで、豊かな生活をしたいという現実がある。ところが、世界開発センターのデータによると、大多数の移民は、貧困から逃れて来たわけではなく、自国での収入は平均以上で、彼らの多くは、不法入国してまで、さらにより高い生活水準を追求しようとしているというのが現実だろう。
欧州議会選挙でも、移民問題は主要な争点となっている。欧州連合(EU)は各国に移民の受け入れを義務付けているが、オランダ、ハンガリー、ポーランド、チェコ共和国の政治家たちは、これに反発している。例えば、ポーランドのドナルド・トゥスク首相は「我々は、移民を受け入れる必要はない」と明言し、EUの移民配分制度に反対している。
オランダでは、5月15日に反移民の政府が誕生し、「最も厳しい移民制度」を実施することを約束した。オランダの活動家エヴァ・ヴラディンゲンブローク氏は、EUの「腐敗したエリート」を非難し、移民政策の見直しを求めている。これにより、オランダ政府はEUの移民配分制度からの脱退を目指す動きを見せている。
同様に、ハンガリーのヴィクトル・オルバーン首相も「ハンガリーは、大量移民の熱狂に屈しない」と宣言し、移民受け入れに反対している。また、デンマークが率いるEU加盟国の半数以上が、移民らの庇護申請者は、審査・認証が行われるまで国外に拘留することを提案している。
庇護申請者:他の国の避難所にたどり着き、その国で庇護申請を希望する者。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、アルバニアと協力し、庇護申請の審査期間中に、申請者をアルバニアに収容する協定を結んでいる。このような措置は、トランプ前大統領の「メキシコに留まれ」政策に似ている。デンマークが率いる半数以上のEU加盟国は「アルバニアに留まる」政策をEU全体のモデルとすることを提案している。
イギリスのリシ・スナク首相も、庇護申請者を乗せた船がイギリス海峡を渡るのを「阻止する」と誓っている。彼は、イギリスの国民には「誰が国境を越えるかを決定する権利がある」と主張し、議会は厳しい抑止策を可決した。オーストリアはこのイギリスの方針を支持している。
人道主義と法の間で
一方で、人道主義団体はこれらの厳しい対策に反対している。しかし、事実として、多くの移民はさらなる経済的利益を求めて移動しており、合法的な手続きを踏まないで入国しようとしている。このような状況は、法を無視した侵入とみなされても仕方がない。
大西洋の向こう側、ピュー研究所のデータによると、77%のアメリカ人が不法移民を「危機」(45%)または「重大な問題」(32%)と見なしている。バイデン政権は、南部国境の危機を不可避なものとして不誠実に描いている。AP通信の調査によると、アメリカ人の3分の2以上がバイデン大統領の移民問題への対応に不賛成である。彼らのコミュニティから移民に資源が転用されることに怒りを感じている。
移民問題は単なる人道的危機ではなく、国家の法と秩序を守るための重要な課題だ。ほとんどの移民は経済的利益のために来ており、合法移民よりも先に来ている。彼らは国の入国管理権を蔑視している。アメリカ人も、ヨーロッパの市民と同様に、移民政策の見直しを求め、国境を守るために立ち上がる必要がある。移民の大規模な流入に対して、アメリカもヨーロッパも一丸となって対応していくべきだ。
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