世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ氏、会長職から退任

2024/05/22
更新: 2024/05/22

世界経済フォーラム(WEF)の創設者であり、長年にわたり会長職を務めてきたクラウス・シュワブ氏が、会長職を退任することが確認された。シュワブ氏の後任はまだ明らかにされておらず、WEFは2025年1月に開催される予定の年次総会までに役職の入れ替えを完了するとしている。WEFによると、この変動は、創設者主導の組織から非創設者による運営への移行と示している。

シュワブ氏は、「グレート・リセット(Great Reset)」の理念と頻繁に結び付けられる論争の的となる人物である。「グレート・リセット」は、現在の社会全体を構成するさまざまなシステムをすべてリセットすることを示す。今年初め、一部の米共和党議員は、WEFへの米国納税者の資金提供を禁止する法案を提案し、この組織とその目標が誤導的でエリート主義的かつ「反米的」であると批判した。

議員のトム・ティファニー氏(共和党、ウィスコンシン州)は、「この資金提供を停止する法案は、アメリカの税金がWEF、およびその我々の生活様式をリセットする試みに使われないようにするものである」と述べた。ヘリテージ財団(The Heritage Foundation)の会長であるケビン・ロバーツ氏は、シュワブ氏の退任を「グローバルエリート主義の時代の到来」を示しているとXで投稿した。

グレート・リセット

シュワブ氏が提唱している「グレート・リセット」の理念は、社会や経済のあらゆる側面を「再構築」するため、世界中のすべての国の参加を求めている。シュワブ氏は、この理念を3つに分けて説明している。

最初の1つは「市場をより公平な結果に導くこと」であり、これには化石燃料の放棄や富裕税の課税の可能性が含まれている。

2つ目は「投資を平等かつ持続可能な発展の目指す方向へ向けること」であり、これには「グリーン」インフラへの投資やESG(環境・社会・ガバナンス)目標達成のためのインセンティブシステムが含まれている。

3つ目は「第四次産業革命のイノベーションを活用すること」であり、これには人工知能などを用いて「公共の利益を支える」ことや、感染追跡メカニズムの作成やワクチン接種状況の追跡を通じて健康と社会の課題に対応することが含まれている。

共和党員がWEFへの資金提供とその「グレート・リセット」の議題に反対する理由の一部は、WEFが資本主義を再構築し、その利益を再分配するためにトップダウンのアプローチを取ることだ。また、選挙で選ばれていない役人を通じて国家主権を弱体化させること、そしてエリートが進歩的な価値観を伝統的信念を持つ人々に押し付けようとすることである。

今年1月の最新のダボス会議でのパネルディスカッションにおいて、ヘリテージ財団の会長ケビン・ロバーツ氏は、WEFのエリートが自由民主主義を擁護するという見解に異議を唱えた。ロバーツ氏は、「ダボスのエリートたちが自由民主主義を守ると主張するのは『可笑しい』」と述べた。

ロバーツ氏は「エリートたちは多くの問題について、現実はこうだと普通の人々に伝えるが、実際の現実は全く異なるものだ」と述べた。ロバーツ氏は移民を例に挙げ、「エリートたちは、国境を開放することや違法移民を容認することが問題ないと言っている。しかし、普通のアメリカ人は、これらが彼らのアメリカンライフスタイルを奪っていると伝えている。普通のアメリカ人こそが正しいのだ。トランプ大統領は、普通のアメリカ人を代表してこの責任を担うだろう」と述べた。

またロバーツ氏は「気候変動が存在する危機である」という見解にも反対している。ロバーツ氏は、「世界経済フォーラムが最も好むトピックは気候変動だ。エリートたちは、私たちが気候変動という存亡の危機に直面していると言う。気候が世界の精神衛生危機の最大の原因であるというほどだ」と語った。「しかし、私たち全員が知っているように、その解決策は、問題そのものよりも悪く、有害で、多くの人命を犠牲にしている」と述べた。

ロバーツ氏は、ダボス会議のエリートたちが中国共産党にプラットフォームを提供することにも反対しており、トランプ氏も大統領に再選されれば、そのような行動に反対するだろうと考えていると述べた。ロバーツ氏は、「もしトランプが2期目を獲得したら、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領の『私は群れを率いるために来たのではなく、ライオンを起こしに来たのだ』という言葉からヒントを得るだろう」と述べ、「これこそが、普通のアメリカ人と地球上の普通の自由人が期待するリーダーである」と締めくくった。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。