米国と世界の選挙に影響力を行使、「中共は自信満々」=米国家情報長官

2024/05/18
更新: 2024/05/18

アヴリル・ヘインズ米国家情報長官によると、北京は米国や世界の選挙に影響を与える能力に自信を深めているという。 2024年の選挙に対する外国の脅威に関する上院公聴会でヘインズ氏は、中共(中国共産党)当局は人工知能とビッグデータ分析を通じて影響力作戦のツールを完成させていると述べた。

ヘインズ氏は、中国の世界的な戦術には、候補者への資金提供、ディープフェイク技術を使ったコンテンツの生成、ターゲットを特定するための世論調査データの収集、ソーシャルメディア上での影響力工作などが含まれると指摘した。

 また、中共の軍隊である人民解放軍(PLA)が複数のソーシャルメディア・プラットフォーム上でアカウントを運用していることにも言及した。

中共は米国の議会候補者に対する選挙介入だけでなく、台湾、オーストラリア、カナダといった国々の選挙でも影響力を行使してきた。

ヘインズ氏は、今年1月の台湾の選挙シーズンを例に挙げ、AIが作成したテキスト、ビデオ、オーディオクリップがインターネット上に氾濫し、その中には与党・民進党の頼清徳候補の演説を歪曲し、あたかも彼が政敵を称賛しているかのように見せかけたビデオもあった。

YouTubeやTikTokでは、中国の影響力を持つ俳優たちが、民進党が「特殊なインクと秘密の開票口を持つ投票箱」を使って得票数を増やしたとか、米国が「不正選挙」を手助けするといったデマを宣伝している。

カナダでは5月上旬、政府の対外干渉に関する委員会が、中国を「外患誘致の最も根強く複雑な脅威」と認定した。

委員会によると、長期的により中国政府は「有給旅行、ビジネスチャンス、名誉ある招待、政治的支援」などのさまざまなインセンティブと、ビザ却下、嫌がらせ、脅迫などのディスインセンティブを展開している。

米大統領選が近づくにつれ、中共の干渉に対する懸念も高まっている。 下院中国特別委員会のラジャ・クリシュナモオルティ委員(民主党)は、2月5日に開かれた同委員会の会合で、「中国共産党やその関連組織が、米国内でこれらの技術を利用することができないと考えるのは甘いと思う」と述べた。

ジョー・バイデン大統領とアンソニー・ブリンケン国務長官は、最近の中国政府高官との会談でも同様の懸念を表明した。

北京でのメディアのインタビューで、ブリンケン氏は、「我々は、一般的に影響力と干渉を試みている証拠を目の当たりにしている、そして我々は、それらの試みができるだけ早く止められるようにしたい」と述べた。

バイデン氏は2023年11月の米中首脳会談の後、中国のトップリーダーたちに 「いかなる干渉も期待しないし、いかなる干渉もまったく望まない 」と警告したと語った。

2023年12月に発表された、大幅に編集された報告書の中で、国家情報会議は、2020年以降、中国の上級指導者が 「米国の政策や世論に影響を与える能力を強化するための広範な指令 」を出したと述べている。

報告書は、中国のハッカーが100以上の米国の州レベルの政党ドメインをスキャンしたこと、2021年に中国の指導者が特定の議員をターゲットにしたリストを作成し、「反中的な意見を持つ者を罰し、親中的と思われる者に報酬を与える」ことを指摘した。

水曜日の公聴会で、ヘインズ氏は中国を 「米国の選挙に関連する対外影響活動において、最も重要な外国の行為者のひとつ 」として挙げた。 彼女は、北京は「中国の重要な問題に好意的な立場をとる政治家をあらゆるレベルで宣伝」し続けていると述べた。

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。