不法移民、アイオワ州の強気な反抗

2024/05/07
更新: 2024/05/07

アイオア州の不法移民をブロックしようとする法案に対して、司法省はそれを阻止するための訴訟を起こすとアイオア州を脅した。キム・レイノルズ知事は強気な反抗を示した。

「私にはアイオワ州民を守る義務がある。 連邦政府とは異なり、私たちは法の支配を尊重し、それを執行する」とアイオワ州知事は述べた。

アイオワ州のブレンナ・バード司法長官は、法廷闘争の可能性への布石を打った上で、アイオワ州が脅威とみなしたものに直面しても「引き下がる」つもりはないと述べた。

新法の下では、当局は、強制退去命令が出されている人、以前に米国から追放された人、または以前にアイオワ州への入境が拒否された人を、州内で逮捕する権限を持つことになる。

アイオワ州知事は4月10日に新州法に署名し、その法律は7月から施行されると発表した。

レイノルズ知事は5月3日にエポックタイムズに声明を送り、「この法律を制定しなければならなかった唯一の理由は、バイデン政権が既存の法律を施行しないためだ」と述べた。

これらのコメントは、法案に署名した際の知事の発言を反映しており、バイデン政権の国境に関する政策が、アイオワ州民の安全を脅かしていると批判している。通常、移民法の施行は連邦政府の責任だ。

司法省の書簡、米国は「非移民の処理」に尽力する

知事の発言は、同州の有力紙デモイン・レジスターが最初に報じた書簡に対する反応だ。司法省次官補代理ブライアン・ボイントン氏が書簡で、SF 2340(法案番号)が「アメリカ憲法に違反しており、連邦法によって覆される」と述べている。

エポックタイムズが入手した書簡の中で、ボイントン氏はレイノルズ知事に、司法省が「連邦法の優越性を行使するために訴訟を起こすつもりである」こと、そして州の新法を阻止するつもりであることを伝えている。

ボイントン氏は書簡で「米国は、アイオワ州がSF2340の施行を控えることに同意しない限り、SF2340の施行を差し止める訴訟を起こすつもりだ」と書いている。米国は「非移民の処理に全力を尽くしている」とし、同州の法律は「その目標に反する」と付け加えた。

ボイントン氏は州に対し、司法省が行動を起こす前にこの法律の施行を停止する期限を5月7日までとした。

エポックタイムズは司法省にコメントを求めたが、取材時までにコメントは得られなかった。

州司法長官「アイオワは譲らない」

アイオワ州司法長官は、反発の姿勢を見せ、Xでの声明で、アイオワ州は「譲らない」と表明した。

バード司法長官は「バイデン氏は連邦の移民法を施行し、国境を守ることを拒否しただけでなく、アイオワのような州が自らの法律を施行することも阻もうとしている」と指摘した。

さらに、「我々がバイデン氏に伝えたいことは、アイオワ州は譲らず、州の安全が危うい状況をただ見過ごすことはないということだ。バイデン氏が国境の問題を解決し、我々の地域社会を守ることを拒否するならば、アイオワが彼に代わって対処する」と述べた。

ボイントン氏は、連邦政府が排除手続きを管轄しており、それは「外交関係に関わり、統一された声で行われるべきだ」と述べ、最高裁判所の見解を引用して語った。

同氏は、この州法は「事実上、州の移民制度を別個に創設するもの」であり、州の判事に不法移民の退去を命じる権限を与えることで、「連邦政府が占有する分野に侵入するものであり、先取りされるものである」と述べた。

ボイントン氏はさらに、この法律が移民及び国籍法に反しており、迫害や拷問から逃れるために、国外追放からの保護を求める非市民に対して、連邦法が定める様々な規定に違反していると述べた。

レイノルズ知事は、バイデン政権が不法入国者の強制送還を拒否していると非難している。

同氏は新法に署名した際に発表した声明の中で、「アイオワ州の法執行機関は、(バイデン大統領が)やりたがらないこと、つまりすでに制定されている移民法を執行する力を持つことになる」と述べた。

この法律の下では、容疑者が拘束された際には、裁判所の判断により国外退去を選ぶか、さらなる罪に問われることが可能。ただし、その命令には、被疑者が出国するために利用できる交通手段と、被疑者が命令に従うことを確認する責任を負う法執行機関についての情報が含まれていなければならない。

この法律は、不法移民を支援する活動家たちから、選挙の年に「馬鹿げた演出」だと批判された。

活動家たちの批判

不法移民を擁護する団体「正義のためのアイオワ移民運動」は4月10日、Facebookページの声明で、この法律は「党派的な選挙レトリック(修飾)を永続させ、移民コミュニティの恐怖を煽り、恐怖と反移民感情を利用して、有権者を動員する」と書いた。

同団体の声明には「この違憲の法律の発効を、阻止するために取り組む用意がある」と書かれている。

アイオワ州アメリカ自由人権協会のマーク・ストリンガー事務局長は、この法案を 「差別的」で「違憲」だと述べた。

オーストラリアを拠点とするエポックタイムズ記者。