中国人権問題ありのまま描く長編アニメ「長春 – Eternal Spring」ピーボディ賞候補 5月末に本邦初公開

2024/04/24
更新: 2024/05/24

米メディア賞として名誉ある「ピーボディ賞」ドキュメンタリー部門ノミネート作品が24日に発表され、中国で起きた国営テレビ局電波ジャック事件を題材にしたアニメ作品「長春(ちょうしゅん)- Eternal Spring」が候補に選ばれた。同作品は5月31日、本邦で初めて公開される。

「長春(ちょうしゅん)- Eternal Spring」公式予告編(2分21秒) https://reconnect.video/ZY6nnF

本作は2002年3月5日、中国吉林省長春市で法輪功学習者らが同市のケーブルテレビに乗り込み、法輪功への弾圧の不当性を訴える番組を8チャンネルで放送した事件を基にしている。弾圧の実態を世に知らしめようとした学習者たちの勇気ある行動を、漫画家・大雄(ダーション、本名・郭競雄)氏の技術により鮮やかに描き出している。

電波ジャック事件以降、中国共産党当局は戒厳令を発動。5千人以上の法輪功学習者が逮捕され、そのうち400人以上が強制労働収容所に投獄された。事件に関わった法輪功学習者のうち、少なくとも7人は尋問中に惨殺された。

こうした弾圧を逃れ海外に渡った一人が、「中国のアニメ王」と呼ばれる長春出身の漫画家、大雄氏だ。3度の拘束を経て08年に渡米に成功した。

命懸けの電波ジャック。なぜそのようなことをしたのか。事件の20年後、大雄氏は生存者の話を自らのペンで描き起こし、自身の回想を交えながら電波ジャックの意義を探っていく。

作画する大雄氏。『長春―Eternal Spring』(主催者提供)

ストーリーは事件の生存者、当事者に関する記憶を残す人々の語りで広がる。ナレーションはなく、吉林省の路面電車や刑務所の冷たい鉄の扉の開閉音、感情を押し殺して事実を語る目撃者らの声に合わせたリアリティ溢れる描写が、非人道的な共産主義政権のおぞましさを現す。

長春は6年の歳月をかけて制作された、長編アニメドキュメンタリーだ。世界86の映画祭出展を始め受賞数は27を数える。欧米、台湾、韓国など11か国の劇場で上映されてきた。2023年にはカナダがアカデミー賞に推薦。そして今回、映像界のピューリツァー賞として名誉あるピーボディ賞にノミネートされた。

きたる5月31日の東京における上映会では、カナダ人監督のジェイソン・ロフタス氏と、漫画家・大雄氏による座談会も予定している。

アイディアについて話し合うジェイソン・ロフタス監督(左)と大雄氏(右)。『長春―Eternal Spring』(主催者提供)

上映に際して、カナダの国会議員ガーネット・ジュヌス(Garnett Genuis、庶民院保守党)氏は日本の観客にメッセージを寄せた。

「映画の力を通して、(中国での)迫害のおぞましさに光を当てるのは実に意義深い」ことであるとし、「上映会が、日本の国会議員や日本国民の皆様が行動を起こすきっかけになるよう期待している」と綴った。さらに、「カナダ議会が2021年に法案を可決したように、日本も自国民が臓器収奪・臓器売買に加担することを禁止する法案を検討することを願っている」と語った。

会場:文京シビックセンター 小ホール(300席)

日時:5月31日(水)18:30開演(17:30開場)

プログラム:

18:30 「長春 – Eternal Spring」上映85分

20:00 ジェイソン・ロフタス監督と漫画家大雄氏との座談会・質疑応答(通訳つき)

20:50 終了

料金:2000円(全席自由、要事前予約)

チケット購入サイト:https://teket.jp/9366/32314

お問い合せ:080-5173-8550
eternalspringjp@gmail.com

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。
日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。