「台湾総統に会うな」中国総領事館、米ニューヨーク市長に圧力行使

2024/04/12
更新: 2024/04/12

在ニューヨーク中国総領事館が昨年、エリック・アダムス・ニューヨーク市長に手紙を送り、「蔡英文台湾総統と会うなら、ニューヨークと中国の友好関係が危うくなる」との意思を伝えたとされる。蔡英文総統と会わないよう脅迫したも同然という評価が出ている。

この手紙を受け取った後、蔡総統のニューヨーク訪問を記念する晩餐会に、アダムス市長は姿を見せなかった。キャシー・ホークル(民主党)ニューヨーク州知事も欠席した。

このような事実は、米メディア「ナショナル・レビュー」の4月3日付の報道で明らかになった。同メディアが情報公開法に基づいて入手したニューヨーク市当局の内部文書には、中国共産党が米当局者に及ぼす影響力のレベルと範囲が明確に記録されている。

手紙によると、アダムス市長の上級顧問である中国系アメリカ人のウィニー・グレコ氏が、ニューヨーク駐在の中国総領事である黄屏氏と緊密に連絡を取り合っていたことが明らかになった。

昨年、蔡英文総統の米国訪問が公表される数週間前から、黄屏氏は「蔡英文総統との会談は成立してはならない」とニューヨーク市当局に圧力をかけた。

中国総領事館の別の関係者は同年3月15日、グレコ氏に連絡し、「今月29日に黄屏氏の自宅で開かれる晩餐会にアダムス市長を招待する」と伝えた。その日は蔡総統がニューヨークを訪問する予定だった。

結局、アダムス市長をはじめとするニューヨーク市当局の高官は蔡総統と会わなかった。いまだに市当局はその理由を明らかにしていない。

ナショナル・レビューは「メール、電話、テキストメッセージなどを通じて市当局に何度も問い合わせたが、何の回答も得られなかった」と報じた。

また、「ニューヨーク市当局が中国総領事館と『緊密な協力関係』を結んでいることは明らかだ」と強調した。

雇われデモ参加者

当時、蔡総統がニューヨーク・マンハッタンのホテルに到着したとき、300人以上の親中派デモ隊が彼女の前で反対デモを展開していた。

台湾国家安全保障局の調査によると、このデモ隊は在ニューヨーク中国総領事館が1人当たり200ドルで募集した「アルバイト」であることが確認された。

デモのリーダーの1人である中国系アメリカ人のルー・ゼンワン氏は、その直後、ニューヨーク・マンハッタンで中国秘密警察署を運営した容疑で米連邦捜査局(FBI)に逮捕された。

親中デモ隊に関する論争はこれだけではない。蔡総統がケビン・マッカーシー下院議長(当時)との会談のためにカリフォルニア州に移動している最中にも、中国共産党は妨害工作を止めなかった。

在ロサンゼルス中国総領事館は、1人当たり400ドルを払って約1000人の親中デモ隊を募集した後、蔡総統の米国訪問に対する抗議活動に参加させた。

さらに、この日の会談に出席予定の政治家、政府高官に何度もメールを送り、「会談に出席する場合、中国に対する『挑発』とみなす」と警告した。

影響力作戦

このような一連の事件は、中国共産党が主導する広範な「影響力作戦」の一環である。近年、在米中国領事館と他の犯罪事件との関連性について、連邦政府からの警告が増えている。

昨年5月、「中国の平和統一をめざすニューイングランド連合」の創設者であるタン・リャン氏がFBIに逮捕され、中国側のスパイとして活動したとして起訴された。

起訴状によると、彼は中国の反体制派や反中国団体の名簿、活動内容などを在ニューヨーク中国総領事館に定期的に報告した。また、FBIは昨年3月の蔡英文総統の米国訪問時、中国総領事館が反対デモにどの程度関与したかを集中的に調査しているという。

以前、エポックタイムズは中国系アメリカ人のウィニー・グレコ氏と中国共産党の関係について報道したことがある。

彼女は2012年、中国農業科学院に関連する会社をニューヨークに設立した。翌年には、神韻芸術団本部の近くに「食品輸出会社」と名乗る事務所を開設した。

これに関連して、FBIは今年2月、ニューヨークのブロンクスにあるグレコ氏の自宅を捜索した。 今回の捜査は、「ルー・ゼンワン事件」を含め、中国共産党関連の事件を何度も起訴したニューヨーク東部連邦検察庁が担当している。