中国共産党(中共)の両会は既に終了したが、同じく重要な会議である三中全会の開催は見送られた。理由は江沢民元中共党首の長男である江綿恒氏が軍の汚職に関与しているからだと主張している。
軍部汚職の清算作業で元最高権力者の息子が巻き込まれ、習近平政権が処理をめぐって苦慮しているというのだ。
3月12日、豪州在住の自由主義学者である袁紅冰氏は、戦略支援部隊の元司令官・巨乾生氏とロケット軍の元政治委員・徐忠波氏が調査過程で他の関係者を暴露したため、粛清の規模が大きくなり、これにより大規模な粛清を終わらせることができず、結局、三中全会が開かれなかったと述べた。
最新情報によると、秦剛氏、李尚福氏らは、江沢民派と手を組み、政治集団を形成して、裏では中共党首の習近平を攻撃し揶揄していた。
両氏はともに習近平の側近だった。第20回中共全国代表大会後、それぞれ外相、国防相に抜擢されたが、昨年相次いで消息不明となった。現在、この2人は解任されたが、当局はその理由を明らかにしていない。
袁紅冰氏は、中共党内の粛清がこれほど拡大しているのは、理由が2つあると指摘している。
「1つは事件に関わる人々がまだ増え続けていること、もう1つは習近平が現在、次の一手を決めかねていること。習近平はまだ、この事件を利用して政治的路線が間違ったとして江沢民に対する徹底的な精算を行うべきかどうかを決めていない」
これら2つの理由から、現在、李尚福氏や秦剛氏の情報は公表できず、三中全会も開催できないと考えている。
大紀元のコメンテーター・王赫氏は「汚職事件が江沢民や江沢民派と直接的な関連がある場合、習近平は今回、江沢民の地位を引き続き保つべきか、それとも江沢民を見捨てるべきかという、厳しい選択を迫られている」と語った。
今回の汚職事件で、習近平には絶対的な忠誠心を持つ中核グループが存在しないこと、そして、自分が育てたと思っていた官僚チームの大半が二枚舌(嘘つき)であることに気づいた。
袁紅冰氏は「秦剛氏や李尚福氏のような、習が自ら登用した幹部さえ、敵対勢力の重鎮、江綿恒氏と政治集団を形成している、彼が現在直面している最大の危機であり、ジレンマだ」と指摘した。
江綿恒氏はかつて中国共産党の航空宇宙産業と軍事産業に関わっていた。粛清された将校の出世経路を見ると、西昌、酒泉の2つの衛星打ち上げセンターと関係があることが分かった。
1999年11月~2011年1月、江綿恒氏は中国科学院の副院長を務め、先端科学技術の研究・開発を担当した。2003年から中国科学院を代表して中国の有人宇宙船「神舟」5~7号プロジェクトの副総指揮官を務め、2007年には月探査プロジェクト「嫦娥」プロジェクトの副総指揮官を務めた。
李尚福氏は1982年から20年以上西昌衛星発射センターに勤務し、副主任(副司令官)、主任(司令官)を務めていた。
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