今月11日、四川省成都市にある高層マンション「恒大珺臨閣」の29棟の高層階で、刃物を手にした男が手当たり次第に女性を襲う事件が起きた模様。
犯人の男は、無差別に人を襲ってはいたが、とくに「女性を狙っていた」というネット情報が流れており「女性3人が、たて続けに刺し殺された」とされている。
事件発生後、ガラスが割られた窓の前で、犯人の男が現場へ駆け付けた公安と長時間にわたって対峙していたことを示す映像も流れている。
SNSには、この事件を伝える大量の情報や動画が出回っており、ある動画には「あちこちに血痕が残された廊下」の様子が映されている。また、別の動画には「全身に複数の傷を負い、血の海に仰向けに倒れて、動かなくなっている女性の姿」が映っていた。
また、別のシーンでは、負傷した別の女性の姿があった。女性は胸より下が血に染まり、床面にも血だまりができていた。
さらに別の動画では、建物から担架で運び出される血まみれの女性が映っていた。この動画には「おそらく死んでいるだろう」という撮影者の声も入っている。
これらネットに投稿された画像や映像からも、犯人が犯行時に、狂乱状態にあったことが伺える。
公安が犯人と対峙している間、ビルの下に集まった多くの野次馬に対して「安定維持」を行うための人員を当局が派遣していた。その人員が「秩序維持」を行っていたことを示す画像も出回っている。
(外へ運び出される被害者)
犯行のあった建物内に入居していた店舗には、負傷して血まみれになった女性が店内に逃げ込み、店員によって救助されている。ところが後に、当局から店に対して何らかの圧力がかかった可能性が高いと見られている。
その理由として、負傷した女性を救助した後、店は被害女性の写真とともに、ビルの管理グループ(SNSチャット)に助けを求めたていた。ところが後に、同店は「みんな、デマを広げないでください。警察当局の発表に準じるように」と、この話題を広げないよう呼びかけていたからだ。
いっぽう、現地の公安当局は「事件関連の声明」を公表しているが、その声明の内容はネットに流れている情報とは一致しない点が多い。
公安当局によると、事件が起きたのは3月11日12時35分。ただし、場所は「高層マンション」ではなく「とあるホテルで起きた」という。
また、容疑者は鍾という31歳の男で、動機はネット上の「出会い系」をめぐるトラブルだという。負傷者は女性2人。容疑者は犯行後、ホテルの窓から飛び降り自殺を図ろうとしたが、警察によって身柄を確保された、とされている。
中国公安による、こうした「公式発表」をそのまま信じる中国人はいない。
昔から「中共の新聞紙で、日付以外はウソ」というのは有名な話だが、中共は何か当局が望まぬ事件が起きるたびに、民衆に伝わる情報を「デマ」と決めつけ、当局の都合のいい内容に仕立てて「公式発表」をするからだ。
そのような例を山ほど見てきた中国の市民からすれば、当局の発表ほど「でたらめ」なものはないことになる。
公安当局による「公式発表」が出された今、犯人の真の動機を含めて、今回の事件の真相はまたも闇に葬られるかもしれない。当局が隠蔽するということは、それだけ公的機関に関連した「不都合な真実」があることも考えられるのだ。この犯人の男がもつ背景も、隠蔽されるだろう。
中国語で、人間の健康を損ねて病気にしたり、世の中の悪い気風を助長する邪気を「戻気(リーチー、れいき)」という。この「戻気」すなわち邪気が充満しているのが、中国共産党が統治する、現代の中国社会である。
今年に入ってからも、社会報復を狙ったとみられる無差別殺傷事件が相次いだ。そのうちの何件かは、通学途中の小学生を狙った凶悪事件であった。
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