長期的な経済低迷や需要の減少などにより、11月以降、中国では多くの地方で野菜の価格が暴落し、ついに「底をついた」とされている。
野菜を生産したところで、価格が低いため運送費すら賄えないケースも多いため、新鮮な野菜を収穫せず、そのまま畑で腐らせることを余儀なくされている農家も少なくない。
価格が下落する背景には、供給過剰のほか、経済不況による不景気のなか、人々は外食をひかえて、各地のレストランやスーパーが野菜の仕入れを減らしていることも影響している。
これにより、2020年から3年続いたゼロコロナ期間のロックダウンなどで大量の野菜が廃棄されて以来、中国の農民は再び深刻なダメージを受けている。
河南省メディアの「大河網」の記者はこのほど、農家や卸売業者、野菜販売業者、野菜業界関係者らを取材した結果、現在の野菜の価格が、生産者からの仕入れ価格、卸売価格、市場価格までいずれも非常に低いことがわかった。
記者の調査に協力した多くの農民は「種子や肥料、農薬や労働力などのコストを差し引いたら、ほとんど利益がないばかりか、かえって損をすることもある」と口をそろえていた。
別の中国メディア「界面新聞」は、山東省、河北省、内モンゴルなどの主要な野菜生産地では、白菜、セロリ、大根、長ネギなどの野菜が非常に安く売られているため、一部の農家ではあえて収穫せずに、畑に放置して腐らせている現状があると報じている。
また一部の地方では、長ネギの価格は500グラム(1斤)あたり0.02元(約0.4円)などと、野菜の販売価格があまりに安すぎるために、すでに収穫をあきらめ、欲しい人に自由に取らせている農家も少なくないのが現状だ。もちろん農家には、全く収入にならない。
都市部の市場でも、野菜の価格が非常に下落している。北京の野菜卸売市場「新發地」では、白菜の最低価格は500グラムあたり0.25元(約5円)、キャベツが0.35元(約7円)だという。
業界内部の人によると、浙江省、上海などの「一級卸売市場(農地から直接仕入れる)」の白菜とキャベツの販売価格は、いずれも500グラムあたり0.03元(0.6円)ほどであり、品質が良くない場合はさらに安くなる。
まるでタダ同然の価格である。そのため野菜を売ったところで運送費すら賄えないケースも多い。野菜の売れゆきも悪く、在庫も多いため、売れる前に腐らせてしまう場合も多いという。界面新聞が報じた。
SNS投稿動画のなかに「白菜を5キロ1元(約20円)」で売る農民の姿があった。
「トラック1台分売って、やっと十数元(約3百円)になるよ」。長年野菜を生産してきたであろう年配の農民は、そう悲しそうに語っている。
(純朴な農民のおじさんが、自分で育てた白菜を売っている。顧客が「おつりは要らないよ。取っておいて」というと、わずかに笑みがこぼれた)
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