逮捕された民主活動家が保釈 「中共との闘いは始まったばかりだ」=米サンフランシスコ

2023/11/22
更新: 2023/11/22

20日夜、APEC期間中の16日に中共側から襲撃を受けて自衛したため、サンフランシスコ警察に逮捕されていた界立建氏の保釈が認められた。米国在住の著名な人権活動家である界氏は、このたびの抗議活動の発起人でもある。

この日の夜、釈放された界氏は多くの活動家らに出迎えられた。出てきた刑務所の前で涙ながらに「私は孤独ではない」と話し、支持者に感謝の意を表した。その衣服の胸には「END CCP」の文字があった。

界氏は「もし私たちがあの時、自衛の行動をとっていなかったら、私たちは殴り殺されていたかもしれない。あの時反撃していなかったら、私は今、こうして皆さんとお話しをすることはできなかっただろう」と語った。

 

(保釈された界立建氏が、多くの支持に対し涙ながらに感謝するとともに、中共への不屈の闘志を述べた)

「打倒中共」「習近平は退陣しろ」。先日閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)の期間中、米国を訪問した中国共産党(中共)の首魁・習近平に抗議する怒りの声は、反中共の大潮流となって、開催地であるサンフランシスコ中に響き渡った。

そのようななか、中共領事館は、赤い旗を振るサクラ役者のほかに、屈強な暴漢を雇って抗議者を襲わせ、多くの華人を負傷させた。

 

APEC会場付近で、中共領事館が雇った要員と衝突を起こす抗議者たち。界立建氏は画像右前側の白いTシャツを着る男性。2023年11月16日撮影。(JASON HENRY/AFP via Getty Images)

 

17日にエポックタイムズの取材に応じた中国民主党全国委員会執行長で弁護士の陳闖創氏によると、「今回の抗議活動で、少なくとも40人の異なる団体の抗議者が殴打された」という。

16日午後、中共側から再度襲撃を受けた際に、界氏は自衛(正当防衛)の行動をとったことで、中共側の暴漢に誣告され、サンフランシスコ警察に逮捕された。

界氏の逮捕で、志を同じくする活動家や支持者は衝撃を受けるいっぽう、それを仕組んだ中共側への怒りが爆発した。華人圏のSNSなどでは界氏の釈放を呼びかける声であふれ、世界中の支持者から募金が寄せられた。

現在、界氏は「保釈金ゼロ」で刑務所からは出られたものの、2つの容疑(「他人を襲撃した」と「暴動を扇動した」)で起訴されている。次の出廷日は12月13日が予定されている。

「中共の牙は、米国政府や米国人にも向けられる」

サンフランシスコでの抗議デモにも参加した弁護士の梁少華氏は、NTD新唐人テレビの取材に対し、次のように述べた。

「界立建氏は、早くから(中共当局に)目を付けられていた。現地警察の行動は明らか中共側に偏ったもので、公正な法執行ではなかった。衝突が起きたのだから、逮捕するなら双方ともすべきだ。我われ(抗議者側)のほうの負傷者が多いというのに、なぜ加害者である相手側は1人も逮捕しなかったのか」

 

画像(左)は、抗議活動中に親共側の人員に襲われ、唐辛子スプレーを浴びせられた陳闖創弁護士。画像(中)は暴行を受けて負傷した陳情民の賈敬偉さん、2023年11月14日(賈敬偉さん本人より提供)。画像(右)は、同じく負傷した抗議者の王維さん、2023年11月15日。(陳闖創弁護士より提供)

 

抗議活動の主催者の一人でもある「中国民主党」の張俊傑氏は18日、エポック・タイムズの取材に対して「中共は海外で、ますますやりたい放題にやっている」と話した。

張氏はさらに「中共は海外の民主体制を挑発し、海外の自由社会のなかで統戦(統一戦線工作)やプロパガンダ、浸透など各種の工作を行っている。しかしそれだけでなく、このような暴力まで米国に持ち込んでいる。異見者に対して、弾圧や迫害を行っているのだ」と糾弾した。

張俊傑氏はまた、次のように続けた。

「友人の界立建氏は、中共に対する抗議活動を主催したことで、何度も殺すと脅迫され、実際に車にはねられたり、こん棒で襲われるなど、本当に命を狙われて危うく命を落とすところだった。こうした中共の牙は、いずれ米国政府や米国人にも向けられるだろう」

「中共との闘いは、始まったばかりだ」

自身も抗議活動中に親共側の人員に襲われ、唐辛子スプレーを浴びせられた「中国民主党」の全国委員会執行長で弁護士の陳闖創氏は、エポックタイムズの取材に対して、「今回の事件で、現地警察の行動は、明らかに中共側に偏っていた」と訴えた。

「抗議活動中の衝突は、親共側の暴漢が先に仕掛けて挑発したものだ。彼らは、自分たちの人数が多いのをいいことに、民主活動家だけでなく、チベット人、香港人、法輪功学習者、さらには現場で抗議していたベトナム人にまで殴りかかった。しかし残念なことに、現地警察は、中共側が雇った暴漢を一人も拘束していない。これは明らかに、一方の肩を持つ行為だ。それほどサンフランシスコ警察は中共側に偏っていた」

そのことで陳氏は今後、サンフランシスコ警察を訴える準備をしているという。こうした状況からして、陳闖創氏は「中共との闘いは、まだ始まったばかりだ」と語った。

 

中共が雇った暴漢たち。(民主活動家の鄭存柱氏のSNSより)

 

今回、サンフランシスコでの抗議活動において、米国の人権団体「中国人権」は20日の声明で「中国や香港、チベッドなどの団体の数十人の参加者が中共側の人員によって襲撃された」と発表した。

襲撃された抗議者のうち、十数人は流血を伴うけがを負った。そのうち3人は重傷で入院しているという。

「中国人権」は大量の目撃証言を掌握している。サンフランシスコ警察に対して、この件の徹底的な調査を求めるほか「(警察が)親共団体に協力していたか否か?」を明らかにし、事件についての公聴会を開くよう求めている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。