H2A打ち上げ成功、年末ごろ月に探査機到達 観測衛星も搭載

2023/09/07
更新: 2023/09/07

[東京 7日 ロイター] – 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発したH2Aロケット47号機が7日午前、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、月探査機と観測衛星を予定通り分離した。探査機は年末ごろ月の周回軌道に到達する。着陸は年明けを見込み、成功すれば8月のインドに続き5カ国目となる。

国産ロケットの打ち上げは、3月の次世代大型ロケット「H3」初号機の失敗後初めて。

無人月探査機「SLIM(スリム)」は打ち上げから3─4カ月後に月の周回軌道に到達、4─6カ月後に月面に着陸する。目標地点に誤差100メートル以内で着陸することを目指し、狙った地点に降りる技術を実証する。月の岩石なども調べる。これまでの着陸機は数キロから十数キロの範囲に降りていた。

スリムの取得データは宇宙飛行士の月着陸を目指す米国主導の国際プロジェクト「アルテミス計画」にも活用される。

X線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」は、X線で宇宙を観測する。星や銀河の構造などを探る。

<競争激化する月探査>

月探査は世界的に競争が激化している。8月23日にはインドの無人月探査機が月面に着陸した。米国、旧ソ連、中国に次ぐ4カ国目の成功で、世界で初めて南極付近に着陸した。JAXAは来年度以降、インドと別の無人探査機を打ち上げ、月の南極に着陸させて水資源を調査する計画も進めている。

日本はこれまでも月面着陸に挑んできたが、22年11月にJAXAの無人探査機「OMOTENASHI(オモテナシ)」が着陸を断念。今年4月には民間企業ispaceが着陸に失敗した。

<失敗続いた国産の打ち上げ>

日本の国産ロケットは、2022年10月に小型固体燃料型のイプシロン6号機、今年3月にはH2Aの後継機H3初号機がいずれも打ち上げに失敗した。H2Aの打ち上げ成功率は約98%と世界的に見て高い水準にあるものの、H3の失敗に関連したとみられる機器がH2Aでも使われており、追加調査や安全対策を今回講じた。

47号機の打ち上げは当初5月ごろを予定していたが、予備期間を9月15日までに設定した上で、8月に延期していた。悪天候が続く中、8月28日には発射地点まで移動させながら強風のため中止した。

(白木真紀、久保信博 編集:青山敦子、橋本浩)

Reuters