「性転換手術をしたい」 幸せな家庭を揺るがした娘の衝撃告白 米国の闇に抗った母親の実録

2023/08/06
更新: 2023/08/02

娘から突然、「性転換手術を受けたい」と言われたらーー。

LGBTの権利拡大が進む米国では、我が子からそう告げられて衝撃を受ける親が後を絶たない。性転換は一種の利権となり、性転換後に後悔する若者も多い。

米国のエポックタイムズ記者は、娘を性の危機から守った一人の母親に、4年越しの大奮闘の顛末を伺うことができた。

なお、プライバシーと安全の観点から、登場人物は全て仮名となっている。

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ベテラン弁護士のジュリーさんは夫と2人の娘とともに米国南部で暮らしている。長女のアイリーン(19)さんと次女(13)はともに中国から養子縁組を通して家族となった。

アイリーンさんは8歳の時、養子縁組の意味を知り、自分のアイデンティティに興味を持ち始めた。ジュリーさんによると、自分たちが家族であることを理解してもらうのに、約1年かかったという。 1年後、アイリーンさんは「よくわかりました。とても素敵な家族に養子に出された小さなお姫様ね」と言い、出自を探すことをしなくなった。

学校に行く年になるとアイリーンさんをカトリックの学校に通った。そこでは中国語やスペイン語などを学んだ他、バイオリンを習った。しかしアイリーンさんは社交性が乏しく、友達はほとんどいなかった。

医師の誘惑

高校に入ると、アイリーンさんに静かな変化が起き始めた。

母親のジュリーさんによると、高校にはアジア系の生徒がおらず、アイリーンさんは服装のおかしな女子生徒と親しい仲になった。

「私は服の着こなしに気を遣わないほうですが、その子の服装には不安を覚えました。なんと、アイリーンはその子に惹かれていたのです」

15歳になったばかりのアイリーンさんは、ある日の夕食の席で突然、自分がバイセクシャル(両性愛者)であることを告白した。当時、ジュリーさんは大いに驚いたという。

数週間後、アイリーンさんは自分が「レズビアン」(女性の同性愛者)だと言いだし「男の子と女の子の両方が好きだ」と両親に告げた。しかしまだ9歳の妹が同席していたため、その話題はすぐ打ち切りとなった。

さらに数週間後、アイリーンさんは今度は自身の事を男性だと性自認する「トランスジェンダー」だと宣言した。

状況を飲み込めないジュリーさんは娘を連れて精神科を受診した。6か月間、複数の精神科を回ったが、皆アイリーンさんの性自認を重んじるべきだと主張した。

医師からは「あなたは自身の子供に従わなければならない」と言われ、さらにある医者からは「あなたは死んだ娘が欲しいのか、それとも生きた息子が欲しいのか」と指摘された。

ジュリーさんは「 私たち夫婦は、我が子に性転換してほしくなかった。しかし心療内科の医師は皆強要してきました。これは他でもない精神的な恐喝だ」と訴えた。

類は友を呼ぶ

アイリーンさんの精神状態は全く改善の兆しが見えなかった。そしてジュリーさんはついに意を決してアイリーンさんのスマートフォンを調べることにした。

すると、ネット上で知り合った「AJ」という友人がアイリーンさんの行動に影響を与えていることがわかった。

アイリーンさんは「AJ」とのチャットで、母親がユニタードやスカートを着るよう「強要」してくると愚痴をこぼした。これに対し「AJ」は「あなたのお母さんは典型的な虐待者で、扇動者で、家族を分裂させる人だ。お父さんはお母さんと離婚して子供たちを連れて行くべきだ」「あなたの両親はあなたを愛していない」などと捲し立てた。

「愛されていない」と告げられた後、アイリーンさんは親に対して反抗的になり、嘘をつくようになった。

さらに、「AJ」はアイリーンさんにポルノサイトを勧めた。

「恐ろしいことだ。私の娘は当時まだ15歳で、そのようなものを見る心の準備ができていませんでした。もはや虐待でした」とジュリーさんは語った。

「AJ」は当時、性腺刺激ホルモンの分泌を抑えることで第2次性徴に伴う体の変化を一時的に抑制する作用を持つ薬品「思春期ブロッカー」を服用していた。同じグループには、テストステロン(男性ホルモン)を服用しているトランス男性(体が女性、心は男性)もおり、自分の乳房を切除するためにインターネットで資金を集めていた。

これらの情報はジュリーさんを戦(おのの)かせた。

「娘の友人はホルモン剤を服用し、自分の体を傷つけています。そのうちの一人は乳房切除術を受けました。高額な医療費がかかりますが、それを収益源とする医療産業は気にもかけません。多くの人々はこれらの薬が体に与える影響を知りません。しかし私は知っています。彼らは一生涯病院に通うこととなるでしょう」

10億ドル産業の闇

トランスジェンダー・クリニックは今や全米各地に存在する。昨年末の時点で、子ども向けのジェンダー・クリニックだけでも、米国では100以上確認されている。また、性同一性障害を抱える若い患者を対象とする個人クリニックやセラピスト、医師も多いという。

元米海軍特殊部隊員のクリス・ベック氏はFOXニュースに出演し、心療内科や手術、ホルモン剤、薬品と後続治療などを含むトランスジェンダーに関わる産業は10億ドル規模だと語っている。

ベック氏は性転換手術を受けた過去を持ち、現在は後悔している。彼は子どもたちがクリニックに入ると、うやむやのうちに「トランスジェンダー」であると告げられ、ホルモン剤治療によって性別を変えてしまうのではないかと心配している。

昨年6月出された米カリフォルニア大学(UCLA)の報告によると、米国の13~17歳の若者の1.4%(約30万人)が自分の生物学的性別を自認していない。いっぽう、18歳以上の成人では、その割合はわずか0.5%(約130万人)となっている。

米国では、精神的に不安定な思春期の子供が医師の判断に従い、乳房を切除したり、性転換手術を行ったりしたものの、後悔しているケースが増えているという。

母親の想い

ジュリーさんは半年後、ようやく心理的トラウマを専門とする医師を見つけることができた。

医師は、アイリーンさんは幼児期に受けたトラウマにより、境界性パーソナリティ障害を患っていると診断した。ジュリーさんに対し、性自認に伴う悩みは一過性である場合が多く、思春期を過ぎれば健康になると語った。

アイリーンさんは専門治療により、現在では状況が大きく改善されている。

ジュリーさんは「最初が肝心だと思う。子供がスパイラルにハマり、愛されていないと他人から言われたとき、一番重要なのは愛情を注ぐことだ」と述べた。

さらに「愛情を注ぐことだけでは足りません。主体的に動き、良い医師を見つけ、子供とともに困難を乗り越えて行かなければならないのです」と強調した。

「娘への愛情を言葉で表すことはできません。本当に愛しています。娘には健康で楽しく成長してほしい。そして何より、自分自身を好きになってほしいのです」

薛明珠