多くの研究と調査が行われるようになった結果、トランスジェンダー運動が執拗以上に子供を標的として取り組んできたために、(米国において)いくつかの面で不利な形勢に陥っているという新しい真実が浮かび上がっている。
それは「ドラァグクイーン・ストーリー・アワー」(注1)に始まり、家族向けの「ドラッグ・ショー」(注2)に発展していった。現在、シアトルのプライド・パレード(注3)で、裸の男性が子供たちの前で自転車を売っていたり、ニューヨーク市ではLGBT活動家が公共の噴水で裸になって踊り、「私たちはクィア(注4)、子供たちのためにここに来たのよ」と大胆にも認めながら通りを行進したりしている。
(注 1)ドラァグクイーン・ストーリー・アワー:2015年にサンフランシスコで始められた、ドラァグクイーン(女装パフォーマー)による子どものための絵本読み聞かせプログラム
(注 2)ドラッグ・ショー:ドラッグクイーンが激しく踊るショー
(注 3)プライド・パレード:LGBT文化を讃えるパレード
(注4)クィア: LGBT のどれにもにもあてはまらない人々全体を包括する用語で、異性に対して性的な感情を抱く「ヘテロセクシャル」や心と体の性が一致している「シスジェンダー」でない人々を指す
しかし、多くの世論調査や研究が行われることによって、トランスジェンダー運動が急速に形勢不利になっていることが明らかとなった。それが急速に起こっていることを、反対の高まりやボイコットの結果が示している。
反対
一般人の中にはLGBTQ+の大義を容認し、イベントに参加する人すらいるようだが、一方でそれらを一掃するための努力が高まっている。
米国の19州では、子供やティーンエイジャーたちへの性適合治療を制限する法案が可決された。
また、学校におけるトランスジェンダー洗脳から子供たちを守ろうと闘っているフロリダ州の母親たちを応援するために、21の州と37の親の権利団体が手を結んだ。
プライド・ジャージ着用を拒否するホッケー選手の数が増えているため、ナショナル・ホッケーリーグの理事会は、そのようなイベントへの参加を停止することを決定した。
こうしたLGBTQ+への反感の高まりにより、ドラァグクイーンによるストーリー・アワー・イベントは、フロリダからニューヨーク、ウェストハリウッドからノースカロライナなどで、キャンセルされ続けている。
ドラッグ・ショーは、テキサス、インディアナ、ジョージア、フロリダなどでキャンセルされた。また、米国防長官からは軍基地内でのドラッグ・ショー禁止の通達が出された。
パラマウントは、TVの「クイーン・オブ・ザ・ユニバース」シリーズをキャンセルした。
ボイコット
トランスジェンダー・イデオロギーを促進しようという企業に対してボイコット騒ぎが起き、大手企業は大きな経済的損害を被っている。
バド・ライトの元副社長であるアリッサ・ハイナーシャイドは、会社の「社交的な」文化を更新するための手段としてディラン・マルバニー氏を起用するという決定を行った。その後、同社の株価は23%下落した。
アナリストによれば、このダメージは「永久的」だという。ターゲット社は、トランスジェンダーの悪魔崇拝者と提携し、子供向けのプライド・コレクションをデザインするという選択をした。その後のわずか2週間で企業価値の5分の1を失った。
プライド月間中に、LGBTの幼児服を発表したコールズの株価は5%下落した。プライド・パレードに参加したスターバックス、ウォルマート、リーバイ・ストラウスは、現在、激しい圧力や敵意に直面している。以前、プロクター・アンド・ギャンブルが、ジレットによる「有害な男らしさ」との戦いで80億ドルの損失を被ったことを忘れてはならない。
子供たちにトランスジェンダー治療、さらには化学的去勢や健康体の一部切断を推進している活動家たちは、米国医師会、米国精神医学会、米国小児科学会といった推進者の支持を頻繁に引用する。彼らは「性適合治療は命を救う。医師たちも同意している」と主張しているが、ヨーロッパの医師たちはそれに同意していない。
研究
2022年9月19日に国立衛生研究所(NIH)が指摘したことだが、オランダの臨床医が「若年性転換者」への介入として思春期抑制を提唱し、それが性同一性障害治療の国際標準となってから四半世紀が経過した。
1990年代半ばにオランダから初めてのプロトコルが提唱された。それによれば、子供たちは医学および精神的健康評価を受けた後に、最初に思春期阻害剤を投与される。年齢が上がると異性間ホルモンが投与され、最終的には手術が行われる。
この手術は、当初18歳以前の若者には行われなかったが、最低推奨年齢は時間の経過とともに下げられ、世界トランスジェンダー・ヘルス専門家協会(WPATH)の最新のガイドラインにおいては、完全に削除されている。
しかし、フィンランド、スウェーデン、フランス、ノルウェー、英国の科学者や公衆衛生関係者は、「称賛されるオランダのプロトコルによる取り組みは、実際には十分な有効性の証拠を欠いており、こうした不可逆的な介入をすることによって、益よりも害をもたらす可能性がある」と警告した。
この介入は「可逆的であり、診断のためのツールだ」という主張によって正当化されたが、NIHは「これらの主張は、ますます信じがたいものになっている」と断じている。
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルの2月の報告によると、米国の小児ジェンダー医学は「エビデンス(根拠)」ではなく「コンセンサス(合意)」に基づいており、マクマスター大学のヘルス・リサーチ・メソッド、エビデンス、インパクト学部のゴードン・ガイアット教授は、青少年の性同一性障害管理に関するアメリカのガイドラインを「信用できない」と呼んでいる。
1月に発表されたオランダの研究によると、「内面化されたトランスフォビア(トランスジェンダー恐怖症)」は、トランスジェンダー患者のメンタルヘルスの問題を引き起こし、性転換手術後の新しい身体への不満につながっている。
6月26日には研究結果が発表された。その内容は、爆発的なトランス運動に反対する人々が言い続けてきたことを裏付けるものだった。トランスジェンダーは、特に若い女性の間では 「トレンド」になっている。
調査
最近、Summit.org がマクラフリン・アンド・アソシエイツと協力して調査を実施した。それによると、有権者の61%が「トランスジェンダー、ドラッグ・ショー、LGBTのテーマなどを幼い子供たちに教えるようなことをすれば、彼らの感情が傷つき心理的発達を損なう」と信じていることが明らかになった。
本年6月、トラファルガー・グループが締約国会議と共同で実施した全国問題調査では、回答者の40.8%が「進歩的・ウォーク的なスタンスをとる会社をボイコットした」と述べている。
一方、「保守的またはMAGA(Make America Great Again)」の立場を表明している企業に対して、同じような態度を表明した回答者はわずか24.5%に過ぎなかった。
国民の同性婚容認の地盤さえ崩れつつある。
2021年6月、ギャラップ社は、同性婚を支持するアメリカ人が過去最多の70%に達したと報告した。
2023年6月16日、ギャラップ社は、アメリカ人の道徳観について意見の減少が著しかったのがゲイやレズビアンの関係であったことを明らかにした。2022年には回答者の71%が両者の関係を道徳的に容認できると考えていたが、2023年はその割合は64%に低下した。
全国世論調査センター(NORC)とウォール・ストリート・ジャーナルが実施した世論調査によると、アメリカ人の過半数(56%)は、生物学的性別と矛盾するスポーツイベントに、トランスジェンダーのアスリートが参加しないことを望んでいた。
2022年6月に発表された研究結果は、「性同一性障害」として知られる生物学的性別とジェンダーの心理的不一致が、若者により多くの影響を与えていることを示している。
さらに、性同一性障害の推定数は2017年から2021年の間に急激に増加した。特に、若い女性の増加率が高く、11歳頃から始まり17歳から19歳の間に最高点に達するという。
両親によると、子供たちのトランス洗脳はソーシャルメディア、特にTikTokで始まったと語っている。
Statistaがまとめたデータによると、TikTokユーザーの大多数は18歳から24歳の間だという。新しい調査によると、50年以上もゲイやトランスジェンダーの権利問題に先陣を切って取り組んできたカナダでさえ、学校で子供たちに秘かに洗脳するといった不可解なLGBT問題に直面したようだ。
トランスジェンダー運動への反対やボイコットは明らかであり、調査や研究の結果は啓発的なものとなっている。それでは、その運動の潮目が変わり始めた原因は何だろうか?
「データは実際そこになかった」
ウェズリー・スミスは、ディスカバリー・インスティテュート・オブ・ヒューマン・エクセプショナリズムのシニアフェローだ。
「反対はどこから始まったのか」と尋ねられたスミスは、「データが流出し始め、この運動の擁護者が初めから間違っていたことを証明されたからだ」と答えた。
「何が起こったのかというと、生まれたときと違う性だと信じ込んだ子供たちに対して、速やかに性適合させなければいけないという道徳的パニックが起きた。それが絶対的に必要で唯一の方法であると聞かされてきた。しかし、実際のデータを調べてみると、そんなデータはどこにも存在していないことがわかった」と、スミスは大紀元に語った。
バイブル・ベルト(信仰心が強い地域)でも保守的でもない国々が「データ」に基づいて子どもの性適合治療に踏み切り、その信念が一時的なもので終わるという事態が起きている。この事実はアメリカ人に対して、この問題をもっと注意深く見るよう教訓を与えているのだ」と、スミスは語った。
「この運動に対する高まりが、LGBTQジャガノート(絶対的力)やバイデン政権を克服できるほど強いものかどうかは、まだわからない」とスミスは語った。
「西ヨーロッパ諸国は、『科学的な決着はついていない』と言ってきた。科学を正しく実践しようとするなら、イデオロギーに基づくのではなく、深い議論、深い討論、深い意見交換が必要だ」とスミスは付け加えた。
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