LGBT当事者の権利擁護が叫ばれるなか、最高裁判所は7月11日、経産省によるトランスジェンダー職員のトイレ使用制限は違法だと判じた。他の公共施設や教育現場に拡大解釈されるのではないかという懸念が生じるなか、原田義昭元環境相は最高裁判決の影響は「限定的」であり、基準を設けることで女性の法的利益にも配慮すべきだと述べた。
最高裁判決では、原告の経産省職員は女性とのトラブルの可能性が低く、また、女性職員が「明確に異を唱える」ことをしなかったことなどを理由に、女性トイレの使用を認めるべきとの結論に至った。これに対し、最高裁判決が拡大解釈され、社会に影響を及ぼすことへの懸念も大きい。
自民党の保守系議員からなる「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」は19日の会合で、女性の安心と安全を守るべきとの声明を発表。経産省の事案は性同一性障害と診断された「特定人の特定トイレについての判決」であり、普遍性がないと強調した。
そして「不特定多数の女子トイレ」において「女性とのアイデンティティを持つ身体が男性の人」についての判決ではないと釘を刺した。出席した片山さつき元地方創生担当相「一般のトイレの問題とは別だ」と述べ、「男性が女性と自称すれば女性用トイレを使えるとの誤解がある」と指摘した。
こうしたなか、弁護士で元環境相の原田義昭氏はエポックタイムズの取材に対し、今回の判決は「日本の最高裁判所としてはギリギリの判断だろう」と語った。裁判長の補足意見を念頭に「不特定多数がいる大きな空間での話には妥当しない。案件ごとにしっかりと検討しなければいけない」と指摘した。
原田氏は女性の法的利益を念頭に、女性トイレ等の利用は「制度の制約があり、本人に控えていただくような場面もあるだろう。今後の過程において、やはり一つの基準を設けて対応すべきだ」、「当人の良識に委ねられるだろう」と語った。
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